63 羽島市財政安定化対策 (20191206)

2019/11/22に羽島市が財政の「安定化対策」を発表しました。近年の羽島市は堅実な財政運営を図ってきました。しかし、新庁舎建設、ゴミ処理施設建設、市民病院経営や少子高齢化、公共施設やインフラの老朽化等を踏まえると今後の財政運営はかなり厳しくなると予想されます。そのため、今のうちに財政の安定化を図っておく必要があり、この「安定化対策」がまとめられました。家計と同様で、収入を増やすことは容易ではないので必然的に支出を減らすことになり、市民には痛みを伴う対策になります。補助金・交付金見直し、受益者負担の適正化、老朽化した公共施設等の整理・合理化などは、羽島市が安定して発展していくためには避けては通れない道なのかもしれません。

11/30岐阜新聞に2018年度県内市町村決算の記事が載りました。羽島市は、財政力指数(財政の豊かさを示す指数)は0.77で県内21市中7番目の豊かさ、経常収支比率(財政構造の弾力性を示す指数)は97.2で同21番目の硬直化でした。この数値から何を読み取るべきかは、まだまだ勉強不足で判然としませんが、確かに県内他市町と比較して、羽島市は補助金・交付金や受益者負担が市民にとって優しい状況になっているように感じます。    (HP表示回数 10,279カウント)

羽島市財政安定化対策

羽島市財政安定化対策の説明

62 教員の休日まとめ取り法案

この法案は2019/12/4に国会で可決成立しました。今後は、先生への残業代未払いへの対応を丸投げされた各都道府県教育委員会の動きに注目!

文部科学省から「教員定額働かせ放題法」とも揶揄される「給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)」の改正案が今国会へ提出されています。改正案(下の画像参照)のポイントは(1)一年単位の変形労働時間制の適用(夏休み等に休日をまとめて取る)(2)業務量の適切な管理等に関する指針の策定です。本当に教員の働き方改革につながるのか、ただ形を整えただけで何も変わらない(対策をしたというポーズだけ)のか、国会審議の行方を注視しています。

萩生田文部科学大臣は、9/24の記者会見で(1)について「学校週5日制の移行期間に行われていた夏休みの休日の「まとめ取り」は教職の皆さんにとって魅力であった」と説明しています。私も平成14年より以前の「まとめ取り」経験者ですが、夏休みにも、補習補充授業や校内会議、出張(会議や研修)、部活動(大会や練習)、授業準備の夏休み明けのためのやり貯め等がありました。そのため「まとめ取り」の休日でも働かなければならない日が多く、周囲にも「まとめ取り」で休める日がないという訴えが多かったです。いわゆる「まとめ取り」の形骸化です。現在はどうかというと、教室冷房の充実、授業時間確保から夏休みが短くなり、しかも、4日間の夏季特別休暇(一般にはお盆休暇)もあるので、以前より夏休みの勤務日は少なくなってきています。その少ない夏休みの勤務日の中で、今まで通りの会議、研修、出張、大会、授業準備等をやらなければならないので、教員は夏休みも忙しく過ごしています。このことは年休(有給休暇)取得率の低さ(年休も満足に取れない)を見れば一目瞭然です。私には、平成14年以前の「まとめ取り」と同じことが繰り返されるような、歴史に学ばないような施策だと思えてなりません

また、10/18の記者会見で(2)について「上限ガイドラインを法的根拠のある「指針」へ格上げする」と説明しています。「上限ガイドライン」の「上限」とは勤務時間の上限なのでしょうか、それとも業務量の上限なのでしょうか。拘束力も罰則規定も無いただのガイドラインなので、今回もまた掛け声だけに終わるような気がしてなりません

なお、9/24の記者会見では「一年単位の変形労働時間制は、これを導入すること自体が日々の教師の業務や勤務時間を縮減するものではありません」とも明言しています。教員多忙化の中でサービス残業で働いた時間を勤務時間にし、その時間分の残業手当を払う代わりに夏休みにその時間分だけ休めということなので、勤務時間の合計が減るわけでないことは自明です。変形労働時間制では多忙化は解消されないわけです。 (HP表示回数 10,013カウント) 《 HP開設10ヵ月程でHP表示回数 10,000 カウントを突破しました。ありがとうございます。》

給特法改正法案(文科省HPへ)

学校における働き方改革について(文科省HPへ)

【参考:学校週5日制移行期間中のまとめ取り】学校は、毎週土曜日が半日授業だったのが、平成4年頃に第2土曜が休みへ、平成7年頃に第2、4土曜日が休みへ、平成14年から全ての土曜日が休み(完全学校週5日制)へと移行してきたように記憶しています。ところが、教員を含む公務員の勤務はもっと早くから完全週休2日制(全土曜日が休日)に移行していたため、教員は、平成14年までの間、本来は休みである土曜日にも勤務し授業をしていました。その分の勤務の振替休日(代休)を夏休み等にまとめて取っていました。これが当時の「まとめ取り」です。

61 市議会一般質問(R01/12月議会)

令和元年12月議会が開会しました。議員に初当選後半年経っての初質問です。教育委員会の所管事務のあり方について質問します。果たしてどんな結果が待っているのでしょうか。羽島市議会独特の御作法を間違えないか緊張しますね。   (HP表示回数 9,892カウント)

一般質問項目

令和元年12月定例会 議会日程

60 市総合計画とSociety5.0

2019/11/15開催の羽島市総合計画審議会を傍聴しました。この審議会では、長期的な視点から羽島市の将来像を定めるとともにその実現に向けた施策とその実施計画を示す羽島市総合計画を審議します。現在は平成27年から令和6年度までの第6次総合計画期間中で、令和2年度から令和6年度の後期実施計画案が審議されました。計画の詳細は別の機会として、委員の方から「『Society5.0の視点を踏まえた計画』とあるがもっと踏み込まないと時代変化のスピードに遅れを取ってしまわないか」という心配の声がありました。私は、行政事務効率化の根本は住民の本人確認のデジタル化だと思っています。Society5.0を意識すると、戸籍謄本、実印、印鑑証明、住民票、運転免許証などを揃えての本人確認でなく、IDとパスワードによる本人確認(スマホでのタッチで会計はこの方法)、つまるところマイナンバーカードによる本人確認を全ての行政事務で可能にすることが、まず最初に構想すべきことでしょう。マイナンバーカードと顔を読み取り機にかざしてパスワードを入力し、画面で申請内容をタッチすれば申請手続きはすべて終わりという新しい時代に乗り遅れないようにしたいものです。部分部分ではなく市行政全体の構想をキッチリと描いてから部分部分に手を付けることが大切です。

Society5.0の政府広報と紹介ビデオ  (そんな時代でも学校へ制服を着て鞄を持って通学するのは何か不思議な感じ)

羽島市のマイナンバーカード交付申請方法の説明(申請時来庁方式)

なお、2011年5月の地方自治法改正により「基本構想」の策定義務は無くなりました。羽島市総合計画も第5次、第6次という法的義務のあった従来の形式から進化させて、羽島市独自の自由な発想で、まちづくりだけでなく他の財政や行政組織、人事構想なども含めた市政全体を包括するような、そしてシンプルで事後評価しやすい計画にすべきなのかもしれません。教育界では、新しい学習指導要領でカリキュラム・マネジメントの重要性が示され、各学校が取り組んでいます。同じように、市にも行政運営マネジメントに対応する計画策定が必要なのでしょう。  (HP表示回数 9,547カウント)

カリキュラム・マネジメント(横国大髙木展郎名誉教授:NITS)

59 共通テスト記述はベネッセが採点

日本経済新聞によると、ベネッセが大学入学共通テスト記述式問題採点業務を61億6千万円で落札しました。期間は24年3月末まで。共通テスト終了後の約20日間で約50万人の答案を採点するには1万人程度の採点者が必要らしいです。ベネッセが採点者を集め、国と正答の条件や採点基準などを事前協議し、試験実施後に実際の解答を見て採点基準等を確定させるようです。NHKによると、ベネッセは共通テスト実施前に問題、正答、採点基準を入手するそうです。この仕組みならば当然ですね。しかし、ベネッセが2014年に起こした約3500万件の個人情報漏えい事件が脳裏をよぎります。この事件で私は500円の図書カードのお詫びをいただきました。(ひょっとして進研模試の採点アルバイトと同じ大学生が大学入試共通テストも採点するのだろうか。自分の記述問題答案とその採点結果の情報開示請求が殺到しそう。)

記述採点準備状況に関するベネッセ報道発表文 (もし著作権上問題があったら御連絡ください。報道発表文なので転載しても大丈夫とは思いますが。)

ところで、平成6年度実施へと導入見送りとなった英語民間検定試験は7種類ありますが、大学受験生は少しでも高得点を取るために、7種類から1種類に絞って、準備のために専用の参考書や模擬問題集を購入するでしょうし、練習に1~2年生で受験することもあるでしょう。その結果、実施業者は本番2回の検定試験受験料だけでなく、参考書、模擬問題集の代金や練習の受験料なども手にします。そして、恐らく大学受験生が受験する英語民間検定試験は、馴染みのある英検とGTECに集中すると思われますが、このGTECもベネッセが実施します。

見送りに関する萩生田文科大臣のコメント (こちらは官公庁の行政文書なので転載しても著作権上問題無いはずです。)

平成30年度の中学生の全国学力テスト(全国学力・学習状況状況調査)の採点や集計業務も約21億円でベネッセが落札しています。平成19年度から平成29年度までの小学校学力テストもベネッセだったと記憶しています。(この経験が共通テスト記述採点業務に活かされるのかな)

このベネッセは、私の孫が購入している「しまじろう」の「こどもちゃれんじ」や「進研ゼミ」などの通信教育、中学校や高校の参考書と問題集、大学入試の模擬テスト「進研模試」、大学入試センター試験自己採点を集計して国公立大学の合格可能性を判定する「データネット」などで有名な、幼児教育から大学までを広くカバーする教育界、受験産業界の巨頭です。

このようにベネッセは、従来から非常に多くの受験生の大学入試模擬試験の結果、センター試験自己採点結果、大学合否結果、さらに小中学校の全国学力テスト結果などの情報を持っていましたが、今回から新たに、英語民間検定試験を通して多くの大学受験生の英語力の情報、50万人の大学受験者の記述式問題の解答情報も持つことになります。さらに次の大学入試改革として検討が進んでいると思われるITを活用したポートフォリオ導入もベネッセが主導する可能性があります。学力や入試に関わる多くの情報がベネッセに集中しているこの状況に、何かもやもやとしたものを感じるのは私だけでしょうか。幼児教育から大学受験までを独占という批判だけでなく、対象が子どもたちの教育だけに私は恐ろしさすら感じます。文部科学省の大学入試改革の委員会や分科会、作業部会等にベネッセ関係者が委員として加わり主導しているとは思いたくありませんが、一度調べてみようと思います。

教育界、受験産業界の巨頭なので、学校にもしっかり食い込んでいて、営業活動で何回も学校訪問をしています。教員向けの研究会等の開催や情報誌の発行、受験生や保護者向けの進路講演会も実施しています。岐阜県内の市町村教育委員会にはベネッセと密接な協力関係を結んでいる教委もあるようです。私の手元にも何枚かの名刺があります。

報道によると「ベネッセの模試や教材を導入しないことで生徒たちになんらかの不利益があってはいけないからという理由でベネッセを選択せざるを得ない」と語る高校教員もいるらしいです。実際、大学入試共通テストの英語民間検定試験や記述式問題採点を行っている業者の模擬試験や参考書、問題集は、本番と共通する傾向があるとか、本番の情報を踏まえた資料や問題が載っているとか思って使いたくなるでしょうね。

長文になり申し訳ありません。教育界の話題なのでついつい熱が入ってしまいました。   (HP表示回数 9,345カウント)