307 かくれ校則と不登校 (20230721)

[通算HP閲覧回数 72,119回 (2023/7/21現在)、連絡先:info@minatani-kiyoshi.com]

▼2023/7/19にテレビを眺めていたら「かくれ校則」「不登校」という言葉が耳に飛び込んできました。早速ネットで検索したら美濃市教育委員会の不登校対策の紹介だったようです。
▼一言でいうと「小児科医師と学校との連携を深める」なのですが、私が知っているパターンと比較すると、美濃市の取組は一歩も二歩も深い連携の実現を目指すものでした。
▼この取組そのものも素晴らしいのですが、テレビを見ていて私が「そうだ、そうだ、その通り」と思ったことは、「加藤医師は、約1000例の不登校の子どもたちを診てきた経験から、不登校=“だいじょうぶ感”の低下だと捉えている。主な要因は、起立性調節障害や発達特性、知的アンバランスなどの「内的環境」や、家庭や学校などの「外的環境」にあると考えている。とくに外的環境の影響は大きく、例えば、授業中の「全員挙手」の強制や、授業が始まる3分前に勉強を始める「3分前学習」など、学校の中にあるさまざまな非公式のルールを、加藤氏は「かくれ校則」と呼び、これが不登校の最大の要因だと指摘する。」というコメントです。
▼美濃市教委教育長は「現場によっては、自主的な活動でも子どもたちが互いを管理し合うような姿が見られる」「学力を身に付けさせるために、教員が子どもをコントロールする方法を取っていた」「確かに子どもたちの息苦しさにつながっているのではないか」「よかれと思ってやってきた指導が、子どもだけでなく教職員自身も苦しめていることに気づいた」ともコメントされています。
▼詳しくは、東洋経済ONLINEの「美濃市が「医療者と連携」し、市を挙げて不登校対策に取り組み始めた訳 学校の非公式ルール「かくれ校則」も見直す方針」をご覧ください。 ( 記事はこちらからどうぞ )。

305 学校と対話型人工知能AI (20230707)

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▼2023/7/4に、文部科学省初等中等教育局が対話型人工知能(生成AI)を小中学校などで活用する場合の暫定的なガイドライン ( 文科省小中局「生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」(2023/7/4発表)はこちらからどうぞ(PDF) )を発表しました。報道によると教育効果として以下を示しているようです。
▼私は、目の前の対応をどうするかということより、生成AIで質問すればすぐに表示してくれる知識を、頭の中に記憶させることを繰り返すような教育から、教科や分野にかかわらず「科学的な見方や考え方」を身につけ「論理的思考力」を育てることに最大の力と時間を注ぐような教育へと早急に変わることが必要だと思っています。子供たちの未来のために頑張ろう。

▼試しに、自宅のパソコンを使ってチャットGPTに「学校でChatGPTを使う場合の留意事項は何か」と入力してみたら、以下のように応答してきました。 「へえーっ!」といった感じですね。

304 教員働き方改革を中教審へ諮問 (20230630)

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南谷清司をより深くご理解いただけるよう「プロフィール」を修正しました。

▼2023/5/16に、自由民主党の「令和の教育人材確保に関する特命委員会」が「令和の教育人材確保実現プラン ~高度専門職である教師に志ある優れた人材を確保するために~ 」を発表しました。 ( 自民党 教育人材確保特命委員会 HP はこちらからどうぞ )
▼直後の5/22には、文部科学大臣が「質の高い教員を確保するための総合的な方策」の検討を中央教育審議会へ諮問しました。諮問内容は、(1)公立学校教員の給与に残業代の代わりに上乗せ支給される「教職調整額」の在り方、(2)職務に応じた手当の創設、(3)「勤務間インターバル」の導入、(4)支援スタッフの大幅な拡充のようです。 ( 中央教育審議会のHPはこちらからどうぞ )
▼さらに翌月の6/16には、「教員の処遇改善」を含む「経済財政運営と改革の基本方針2023」(いわゆる「骨太の方針2023」)が閣議決定されました。( 内閣府 骨太の方針2023のHPはこちらからどうぞ )
▼公立小学校教員採用試験の倍率が2倍を割るようになって「でもしか先生」という嫌な言葉が思い出される、教員不足で学級担任がいなくなり授業ができないという話があちこちから聞こえてくる、など義務教育崩壊が目前に迫ってきているとも思える最近の状況です。その中での、一ヵ月の間の、自由民主党、文部科学省、政府の連携がとれた改革方針3連発を見ると、国がやっと重い腰を上げる気配が感じられます。学校の危機が広く報道されるようになった今が、諮問、答申、改善というチャンスなのかもしれませんが、それはそれで政治家のあり方としては情けない気もします。
▼なお、このような改善を実現するには、国費ベースで5千億円の予算増が必要という報道もありました。財務省や国会議員が予算をつけなければ何も変わらないので、前途多難なことは確かなようです。
▼今どき、「残業を月100時間近くしてもらうこともあるけれど、一日20分間相当の固定残業代(一日の勤務時間8時間の4%相当)しか支払いません」というブラック職場へは誰も就職したいと思いませんよね。しかも、昼休みに勤務場所を離れて自由に昼食や休憩をとることは許されず土日勤務の代休もなしではね。ここにメスを入れることは質の高い教員を確保するための必要条件です。外部からはっきりと見える変化がないと、大きな流れを変えることは難しそうです。

中教審「質の高い教師の確保特別部会」の案内・配付資料・議事要旨はこちらからどうぞ(6/26第1回開催・ライブ視聴可)

YAHOO!ニュース 「教員の働き方改革「直ちに取り組む施策」に期待するのは、現場丸投げにならないことだ」 (2023/6/29 前屋毅)

YAHOO!ニュース 「学校と先生の役割とは何か? 機能不全に陥った学校というシステムを再定義する」 (2023/6/28 AERA 藤原和博)

YAHOO!ニュース「残業当たり前と「毎日17時に帰る」先生の決定的差 仕事の生産性向上するにはICTの活用が不可欠」(2023/6/27 東洋経済)

YAHOO!ニュース 「教員不足で尻を叩かれる校長たちは悲鳴をあげている」(2023/6/22 前屋毅)