50 学校へ行かない選択肢

10/5岐阜新聞に、岐阜市教育長が「学校は命を懸けてまで行くところではない」と、岐阜県教育長が「児童生徒が命に関わるようなつらさを抱えている状況では、緊急避難として学校に行かない選択肢もある」と議会質問に答弁したとありました。命より大事なものはないのだから至極当然のことです。大切なことは、イジメ以外の要因も含め目の前の子どもが「(学校へ行くと)命を失うかもしれない」という状況になっていることを、周囲の教員や親、友人が感じ取ること、さらには感じ取る方法を誰もが学ぶことではないでしょうか。

ところで、この答弁の背景らしい「義務教育だから子どもは小中学校へ行かなければならない」は正しいでしょうか。憲法第26条第1項には「すべて国民は・・・教育を受ける権利を有する」、第2項には「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」と、教育基本法第4条には「国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う」と、学校教育法第22条(39条)では「保護者は・・・小学校(中学校)・・・に就学させる義務を負う。」と定められています。つまり、子どもではなく、子どもの保護者に就学させる義務が課せられています。よって、正しくは「義務教育だから保護者は子どもを小中学校へ行せなければならない」です。小中学校へ行くことは子どもにとっては権利であり義務ではないのです。少しは子どもの精神的な重荷が減るかな。

45 小中教員の研修校

9/19岐阜新聞朝刊に岐阜市議会で教育長が「教育実習校の勤務時間が長くなっている傾向がある」、「(教育)実習校が自らの体調や家庭の犠牲の上に成り立つものであってはならない」、「(教育)実習校は県や市の教育の発展に貢献してきた」などと答弁した記事が掲載されました。答弁中の「教育実習校」は、岐阜大学教育学部の教育実習生を受け入れる岐阜市立の長良小、加納小、長良西小、長良東小、加納中、長良中、青山中、陽南中、東長良中を指しています。岐阜市内には他に岐阜大学教育学部附属小・中学校があります。

これらの「教育実習校」は「研修校」とも呼ばれており、勤務する多くの教員は、優秀な教員の育成を実践を通して図り、地域や学校の中核教員に育てることを視野に入れて実施されている「研修校派遣制度」により派遣された教員です。「職員調書」の履歴の欄には「研修校派遣」と記載されます。なかには生活の本拠地が東濃や飛騨であるため、住居を岐阜市内などに移して勤務する教員もいます。研修校派遣に送り出す地域や学校は、これらの教員が研修校(教育実習校)勤務を終えて地元に戻り、 「スクールリーダー(中核的中堅教員)」として活躍して欲しいとの期待を持ち派遣しています

この仕組みが岐阜県の教育水準向上に果たした役割は大きく、岐阜県内のどの市町村でも、研修校派遣を経験した教員がリーダーとなって、研修校(教育実習校)の教育を参考に概ね同水準の教育が実施されています。しかし、働き方改革や市町村教委による地域に応じた独自の学校運営、教育実践が求められるようになってきた今、教育実習校はともかく研修校と「研修校派遣制度」は見直しが必要な時期になってきたような気がします。

地公法、教特法で教員の研修は任命権者(県内市町村立小中学校教員の場合には岐阜県教育委員会)が行うことになっています。しかし、地教行法で、中核市の教員研修は任命権者(県教委)ではなく中核市(岐阜市は中核市に該当)の教育委員会が行うことが定められています。

このような法律の定めから、岐阜市以外の市町村立小中学校教員の研修は県教委が実施し、岐阜市立小中学校教員の研修は岐阜市が独自に行うことになっています。そのため、例えば新採用教員の初任者研修は、岐阜市の教員と岐阜市以外の教員が全く別の日、別の場所、別の内容で受講しています。このような仕組みの中、県教委の教員養成方針に基づいて県教委の責任と権限で行うべき小中学校中堅教員養成研修を、「研修校派遣制度」により中核市である岐阜市独自の研修に任せている状況は、決して好ましいとは言えないかと思います。特に、羽島市の教育の発展を願う者としては、我が市の中堅教員養成研修を県教委ではなく岐阜市教委に任せることには、ちょっと納得がいかない面があります。

「研修校派遣制度」の詳しい内容は以下のPDFファイルを御覧ください。

岐阜県の教師教育制度と教職大学院 (岐阜県教委義務教育総括監 執筆)

41 給食費未納

市議会一般質問で、学校給食費未納が、税金徴収のように公会計化したら、先生が集金していたときより4倍に増えたと答弁がありました。学校で先生が集金していた17年度までの5年間の未納額は80~120万円だったのに、市が直接集金する公会計化後の18年度未納額は400万円まで増えたそうです。増えた理由は様々推測できますが、先生方が、多忙な中、未納になりそうな保護者の方々の理解を得るために家庭訪問をするなど、多大な努力をされていた様子が窺えます。羽島市の先生方、給食費集金は教員本来の仕事ではなかったのに、今まで長い間ありがとうございました。