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▼2021/1/27に「小5・6 教科担任制」「2022年度めど」「理科、算数、英語を例示」という中教審答申の報道がありました。
▼学校の授業形態は子供達の発達段階に合わせた方法が採用されてきました。その流れで、小学校は学級担任制、中学校と高校は教科担任制となっています。
▼教科担任制や選択制などが、大学から高校へ、高校から中学校へ、中学校から小学校へと広がってきています。子供達の発達が早くなったのでより早期の対応が必要になったのか、それとも社会の要請なのか、私にはどちらなのか分かりません。
▼報道によると、小学校教科担任制の導入については「授業の質が高まる」「教員の負担が減り働き方改革につながる」とあるので、子供達の発達の変化より社会の要請の方が強いのかもしれません。
▼それはともかく、今後は小学校教科担任制導入に向けた環境整備が重要になります。理科、算数、英語を専門の先生が担当することができなければ、今回の改革の意味が全く無いばかりか、先生が頻繁に入れ替わることで小学生の落ち着きがなくなるなど、心の発達に逆効果である可能性もあるからです。いわゆる小学校教科担任制の学級経営や生徒指導上の課題です。
▼そして環境整備で最も重要なことは、理科、算数、英語の専門の先生を小学校に確保することです。中学校の先生が小学校でも教えることで対応すると説明されることがありますが、中学校の理科、数学、英語の授業時間数、それに伴う必要教員数は変わらないので、現状では中学校に理科、数学、英語の先生が余っているわけではなさそうです。むしろ、中学校でも先生は不足している状態と思われます。
▼根本的には、理科、算数、英語を専門とする先生を、小学校1~4年生分も含めた必要人数分だけ、小学校に確保(新規採用)することが必要になります。現在の小学校の先生には専門の偏りがありそうなので、当分の間は小学校教員の新規採用は理科、算数、英語を専門とする者が中心になるぐらいの勢いが必要かもしれません。
▼しかし、教員養成大学の教授へはともかく教員志望学生への影響は大きそうです、子供達中心か、教員養成大学中心か、県教委には難しい舵取りが求められます、 いずれにしても教員養成大学のあり方、教員採用のあり方を根本的に変える必要がありそうです。
▼なお、最近の岐阜県小学校教諭の採用試験には算数と理科について特別枠(私が県庁勤務時に導入しました)が設けられおり、これらを専門とする先生を少しでも多く採用しようという姿勢が見て取れます。また、中学校英語教員免許を持っていると加点される制度もあります。
令和3年度採用岐阜県公立学校教員採用選考試験実施要項 (PDFファイル)
▼しかし、このような採用試験の工夫をしても、2/3の新聞報道によると、公立小学校の教員採用試験の競争率は岐阜県2.2倍、全国平均2.7倍、中学校は岐阜県3.5倍、全国5.0倍で、両方とも全国より低いという大きな問題があります。しかも、合格後に採用を辞退する学生もいるので実際にはもっと低いと思われます。
▼「学校はブラック職場」(最近はやっとエアコンが効いた職場になりました)「夜遅くまでサービス残業やらせられ放題」「土日の休み無しで働き詰め」とも言われるような勤務条件を改善して、「学校の先生は魅力的な仕事」と大学生が思うようにならないと、希望さえすればどんな人でも教員になってしまう日が現実となり、教育が崩壊しかねません。
▼このような現状の中で、本当に小学校5・6年で理科、算数、英語について専門の先生が質の高い授業を展開できるかどうか、疑問が膨らみます。形だけ整えて中身が伴わない結果になるのではと心配しています。そうなると、子供達が犠牲になってしまいます。
▼まずは目の前の課題を正確に分析し、その対策をしっかり実行して課題を解決する。その上で新しい政策に取り組まなければならないと思います。教育に理解があり政策立案力、実行力溢れる江崎氏が知事になっていれば大きな希望が持てたのに、本当に残念です。
▼そう思っていたら、HP掲載2日後に岐阜新聞社説で同じ内容が取り上げられました。もっと、もっと大きな声になって、県教委を動かしてほしいものです。
171 学校教育のこれから(中教審答申)
86 教員多忙化解消と研修校
70 いじめと実習校
45 小中教員の研修校
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