2021年1月実施大学入学共通テスト(現在のセンター試験の後継版)から導入される英語民間検定試験について議論されています。英語について、書く、読む、聞くの3技能だけでなく、話すを加えた4技能を問うように改善する中で、国数理社等のように国が直接実施するのではなく、英語は民間試験を活用することに決まったのですが、その英語民間試験の詳細が分かりにくく、また、大学側の合否判定への利用方法の詳細も不明なために、受験生の不安が大きく様々な議論が起きているようです。
萩生田文科大臣は10/1の記者会見でこの英語民間検定試験の導入について「高校生は、このシステムの実施を念頭に既に準備を進めており、システムは当初の予定通り2020年度から導入することとしますが、初年度はいわば「精度向上期間」、この精度は精密さを高めるための期間ということです。今後に向け、高校・大学関係者との間でも協議をし、より多くの大学がシステムを利用するとともに、受験生がより一層安心して、受験することができるように、システム利用の改善に取り組んでまいりたいと思います。」と説明しました。受験生からは実験台にはしないで欲しいというような反響もあるようです。
文部科学省の英語教育担当部署が政策立案をしていると思われますが、今までのことを思い起こすと高校現場が不安に駆られるのもやむを得ないかもしれません。
- 2002年度スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)がスタートしたが2007年度で新規指定終了。(華々しく登場したけれど僅か6年で新規指定終了。同時に登場したスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)は大きな成果を上げ、現在も継続している。)
- 2014年度スーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)がスタートしたが2016年度で新規指定終了。(華々しく登場したけれど僅か3年で新規指定終了。2019年度から焼き直しの事業を開始するという噂があったけれどどうなったのだろう。)
- 2020年度から小学校の英語教科化(ある日突然、英語の指導法など全く学んだこともない教員、英語が苦手で小学校勤務を選んだ教員などに英語の授業をさせては、今から英語を勉強して授業しなければならない教員だけでなく、その授業で学ぶ子ども達も可哀想。現場任せの状況。)
- 小学校、中学校、高等学校における各学年毎の学習到達目標が不明確(CAN-DO リストと表現されることもあるが、これが明確になっていなくて現場任せの状態。)
- 国際バカロレア認定校等を2018年までに200校 などなど
余談を二点。一点目は中学・高校・大学と10年間も英語を学んだのに全く使えないのは学校の英語教育が悪いと言われることについて。それを否定はしないが、普段英語を必要としない人は英語を忘れる、英語力は身に付かない、ということも英語が使えない要素の一つ。私は大学卒業後の勤務では英語の必要性がほとんど無かった。なので、大学卒業時が英語力のピークでそれ以降は低下するだけ。使う必要性がなければ低下も当然。日本では、外国映画も外国小説・評論も日本語で鑑賞・読書できる。そうでない国では英語が必要なので学校卒業後も英語力が高く維持される。二つ目、大学入試は多く点数を取った人が合格する仕組み。英語民間検定を大学入試に使用すれば、受験生はベネッセなどの民間業者から最も高得点・高評価を得やすい業者を選択する。業者は営利を求める側面があるので、多くの受験生が選択してくれるように出題方法や難易度を工夫する。そして・・・。 (HP表示回数 8,178 カウント)
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