126 若手男性官僚「辞めたい」

2020/7/25岐阜新聞朝刊に30歳未満の男性官僚の約15%が数年内に辞職する意向だという記事がありました。内閣人事局の意識調査結果のようです。
男性と指摘されると、男女共同参画社会だけれど女性はどうなんだと思いますがその説明は見当たりません。また、官僚がどういう方を指すのかもよく分かりません。
一般的に官僚と言えば各府省庁で国の政策立案や遂行を担当する国家公務員のことですが、国家公務員試験総合職(Ⅰ種、甲種)合格者を高級官僚(キャリア)、一般職本省採用(Ⅱ種、乙種)合格者を官僚(ノンキャリア)と呼ぶことが多いようです。他にも専門職や高卒国家公務員試験に合格した人など様々な方が活躍しています。国家公務員は約58万人、その中で防衛省等を除いた一般職は約29万人です。今回の意識調査は、この約29万人の中の官僚の一部である約4万5千人からの回答の結果のようです。
以前から、国家公務員試験総合職(キャリア)を目指す優秀な大学生が減少しているという課題がありましたが、今では更に、合格しても30歳ぐらいで辞めていく人が多いということです。辞職意向理由では、①もっと魅力的な仕事に就きたい、②収入が少ない、③長時間労働で仕事と家庭の両立が困難、が上位を占めています。ブラック企業みたいです。何故こんなことになってしまったのでしょうか。
国会議員約700人が自分たちの好待遇や特権から国民の目をそらすために、こぞって公務員叩きを行った結果と言われたりもしますが、公務員や教員の勤務環境やキャリア形成、人事評価を改善しないと、優秀な人が公務員や教員にならなくなり、とんでもない行政や教育が行われる社会になってしまいます。そうなってからでは遅いです。日本の未来が非常に不安です。 ( HP表示回数 18,768カウント )

 

125 羽島市環境政策の独自性

2020/07/22に羽島市環境審議会を傍聴しました。羽島市環境基本計画などを審議する会です。環境計画の目標の第1が環境意識の向上、第2~5が具体的な環境課題である生活環境、循環型社会、自然との共生、低炭素社会となっています。1番目に「環境意識の向上『環境について考え行動する人づくりを進めるまち』」を挙げていることが羽島市の独自性であり、先見性でもあります。審議会委員の方々の高い見識に感服しました。
しかし、岐阜県職員の委員が、「県では具体的な環境課題が先で、最後に環境意識の向上があり、県と順番が反対になっている」と指摘されました。どちらが望ましいという発言はありませんでしたが、私は県が古い意識で作っていると思いました。
行政から「ここが課題なのでこう行動しなさいと指示され動く市民」より、「自ら課題に気づき、どうすべきか考え、解決に向けて自ら行動する市民」に支えられている羽島市でありたいと思います。教育も同じで、知識を教え込むより、「様々な情報や出来事を受け止め、主体的に判断しながら、自分を社会の中でどのように位置付け、社会をどう描くかを考え、他者と一緒に生き、課題を解決していくための力の育成」へと、教育の目標は大きく変化してきています。
頑張れ羽島。    ( HP表示回数 18,634カウント )

会議要旨・配付資料等 (羽島市HP)
90 環境審議会 (2020/2/12開催)

 

124 高校普通科再編?

2020/7/16の新聞に、早ければ2022年春にも高校普通科に加えて「学際融合科」「地域探求科」を設ける案の記事が載りました。どこからそんな話が出てきたのかと調べると、2020/7/10の文部科学大臣定例記者会見で大臣が説明したようです。大臣の話の大元はどこかというと、中教審初等中等教育分科会の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の第9回(2020/7/9)の議論からのようです。となると、観測気球でしょうか。なお、このワーキンググループの主査は京都堀川高校で有名になった荒瀬克己氏、主査代理は京都府教育長です。他の委員はその多くが都会の方々です。

1994年度(平6)にも、普通科や高校教育に対して同様の課題が指摘され、その解決策として普通科・専門学科に加えて新たに総合学科が新設されました。当時の文科省は、全高校の1/3を普通科、1/3を専門学科、1/3を新しい総合学科にして、高校教育を改革すると言っていました。現状は見ての通りです。岐阜総合学園高校のような充実した総合学科を設置している都道府県は岐阜県を含め僅かです。今回は普通科に新たな学科を加える案のようですが、どう進むのでしょうか。総合学科が広まらなかった理由をしっかり検証すべきでしょうね。

もう一点。様々な特色を持つ高校があり、そこから自分の興味関心、進路希望にあう高校を選択して進学するということは素晴らしいことです。是非ともそのような環境で子ども達を学ばせたいと思います。しかし現実は、通学にかかる時間や経費などの制限から通学圏内にある高校から選択しなければなりません。そして、多くの地域が数校の中からしか選択できません。農業や工業関係を学びたくてもその高校が遠くて進学できない地域もあります。そのような地方の現実を踏まえた高校の特色化、学びの内容の特色化を検討してほしいものです。「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の都会出身の委員の皆様、よろしくお願いします。都会の課題と地方の課題は異なります。  ( HP表示回数 18,446カウント )

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月10日)の一部
(略)中教審のですね、「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」では、普通科改革や地域社会との協働など、新時代に対応した高等学校教育の在り方について、ご議論をいただいているところです。昨日の会議では、普通科改革の方向性として、例えばSDGsなどの学際的・科学的な学びに重点的に取り組む新たな学科ですとか、地域社会を抱える課題解決に向けた学びの重点的に取り組む新たな学科の創設などを検討するとともに、専門学科の充実方策として、地域の産業界を核とした人材育成の推進の在り方について検討をいただいたところです。また、域内に公立学校が0校又は1校しかない市町村が約6割とする資料も踏まえ、離島や中山間地域などのこれからの小規模高校の在り方について、ICTも活用して、複数の高等学校が連携・協働した学校間連携の在り方について検討を行ったところです。(略)公立学校の統廃合は、設置者である地方自治体において適切に判断いただくべきものではありますけれども、文科省としては、高等学校が担う地域振興の核としての役割は、今後も極めて重要と考えております。(略)

123 羽島市総合教育会議withコロナ

2020/7/9に羽島市総合教育会議を傍聴しました。教育行政の責任者である5人の教育委員と一般行政の責任者である羽島市長が、羽島市の教育施策についてお互いに意見をぶつけながら協議調整等を行う会議です。多忙な中でもきめ細かな感染症対策を実施をしている学校の先生方への、市長からの敬意と感謝の言葉から会議は始まりました。そして、やはりテーマは「コロナ感染症対策下における学校教育活動」でした。学校や勉強が苦手な子ども達への配慮、ICTを活用した教育や教員の生産性の向上、保護者へのアンケート結果などが議論されました。特にアンケート結果は現実を反映したデータなので関心を引きました。  ( HP表示回数 18,196カウント )

会議要旨、配付資料等(羽島市HP)
36 総合教育会議
40 教育委員会とは

アンケートメール送信数4814人なのでほとんど全ての保護者へ送られています。回答率約62%は、学校が保護者に実施するアンケートとしてはちょっと低いかなと思ったりします。コロナ対応やずーっと家にいる子どもの世話で保護者の皆さんはそれどころでは無かったのかもしれません。
それはそれとして、心配事では学習や生活のことが多いのは予想通りですが、子どもとの関係でストレスや不安を感じている保護者が10%(約320人)、教育相談やカウンセリングを受けたい方が5%(約160人)というのはちょっと多い印象です。回答していただいた保護者の10%、5%ということなので全体ではもっと多いはずで、なかなかに重い数値です。経済的にも時間的にも精神的にも切羽詰まって、回答することさえ出来なかった保護者もいることを思うと、コロナ禍とはいえ切ない思いがあります

122 中3自死を受けた検討会議答申

2019年7月に岐阜市立中学校3年生徒がいじめを苦に自殺した事案受けて設置された「岐阜市公教育検討会議」の提言が2020/7/3に岐阜市長へ提出されました。

委員には全国で活躍中の妹尾昌俊氏(文科省学校業務改善アドバイザー)がいらっしゃるので、その提言内容に注目していました。提言では、子ども達に対する教育理念として「すべての子どもの『自由の相互承認の感度を高める』教育を推進する」が掲げられています。本質的な課題はこれをどのように具現化するかです。そのことについては、岐阜市教委の教育行政や学校運営に対する提言部分と重なるのですが、「各学校の業務と多忙の状況を可視化し、診断して、改善を講じよ」とあります。妹尾氏によると「学校だけに頑張れと叱咤激励しても限界はありますから、教育委員会サイドで、負担軽減策を講じたり、各校共通して取り組んだほうがよいことなどを探して実行することを提案しました。」だそうです。この提言を受けた、岐阜市教委の教育行政や学校運営についての今後の変化に大きな関心があります。    ( HP表示回数 18,081カウント )

「岐阜市の子どもの未来を拓く公教育に関する提言」(岐阜市公教育検討会議答申 R020703)

同 概要版(一つ目の画像と同じ内容のPDFファイル)

なお、このいじめ事案では、市教育委員会に「第三者委員会」が設置され、自殺の主要因はいじめと認定しました。そして、教員間の情報共有や連携ができておらず、保護者との連携も不十分だったと指摘するとともに、いじめに対応する方針が実態に即しているかを学校と市教委が点検するなどの再発防止策を盛り込んだ報告書を、2019年12月に市教委へ提出しています。報告書の多くの部分は個人情報保護のため黒塗りとなっています。
対して、市長部局の企画部には「公教育検討会議」が設置され、いじめ自殺事案を背景に市長と教育委員会との連携による教育施策の総合的な推進に関する事項を審議し、今回市長へ提言が提出されました。

岐阜市公教育検討会議の会議録及び配付資料(岐阜市ホームページ)

中学生の自殺を受けて教育のあり方について考えたこと No1(妹尾昌俊氏の記事)
中学生の自殺を受けて教育のあり方について考えたこと No2(妹尾昌俊氏の記事)

妹尾昌俊氏のホームページ

ところで、当時のテレビ報道では、市教育長は学校の体制が不十分だったと説明し、校長は担任から報告がなかったと説明し、9月の新聞では該当担任が年度途中で退職したことが報じられました。マスコミ報道だけなので軽々な判断をすべきではありませんが、これらの報道に接して違和感を感じた教員や教員OBは私だけではないと思います。

2020/7/5中日新聞朝刊に市教育長の「子どもたちと話した時に『先生が忙しそうだから、話しかけると悪いと思う』と言われ、ハッとした。」というコメントが掲載されていました。これが、今回の自死事案の教育行政、学校運営サイドの根源的な背景、要因だと思っています。

また、「第三者調査委員会」の委員長は元岐阜大学教育学部教授です。該当校に勤務する教員は非常に多忙でしたが、その要因の一つは岐阜大学教育学部の教育実習校であったことですが、委員長はその関係者です。「公教育検討会議」の副会長は元県教委幹部で岐阜市教育長の県教委勤務時の同僚です。該当校のような研修校・実習校へ研修派遣された研修校OBでもあります。
委員長は私が校長の時に外部委員会委員長やSCをお願いしていた方であり、副会長も私が県教委勤務の時の同僚です。お二人ともとても良い方で大変信頼できる方です。
しかし客観性、公平性の観点からは、できれば県内の教育関係者を避けて、他県の教育関係者が良かったと思うのも、私だけではないと思います。今回の自死事案の背景には、前述の「ハッとした」というような岐阜県や岐阜市の教育行政や学校運営の特殊性が潜んでいる可能性もあるので。

86 教員多忙化解消と研修校

70 いじめと実習校

45 小中教員の研修校