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▼2022/8/1の岐阜新聞に「小学校教員2年連続2倍割れ(県来年度採用倍率)」の記事がありました。岐阜県公立学校教員採用試験で、小学校の採用予定数265人程度に対し出願者数が519人で、倍率が1.96倍となり、2年連続で2倍を下回ったようです。実際には、他県教員・県職員・民間などと併願していて、採用試験に合格しても最終的には辞退する人がいるので、本当の倍率はもっと低いと思われます。昨年度も、採用予定数295人程度に対して志願者数587人で倍率が1.99倍でしたが(詳しくは 208 教員採用試験 ついに2倍割る へどうぞ)、今年度も連続して2倍を下回りました。教員希望者が2人いれば、そのどちらかは教員になるという状況には、教員の質の確保という面から不安を感じる保護者が多いかもしれません。
▼岐阜新聞の記事によると、県教委は倍率低下の要因として「少子化などにより受験者数が漸減する一方で、定年者の大量退職などにより採用人数が高止まりしている」ことをあげたようです。記事のグラフから判断すると、志願者数は2013年度採用の約2500人から2023年度採用の約1750人へと10年間で約30%減少していますが、主な採用年代である22~30歳の人口も直近10年間で30%も減っているのでしょうか。少子化で受験者数が減ったとするのはちょっと不思議な説明のような気がします。
▼定年者の大量退職による採用人数の高止まりについては、定年退職者数のデータを持ち合わせていないので詳細は分かりません。なお、採用人数は、定年や自己都合による退職者数、欠員補充の臨時採用講師数、政策的な教員定数増減、在校児童生徒数変化による学校数・学級数の増減、35人学級の拡大、将来に向けた年齢構成調整などの要素を総合的に検討して決めるので、採用人数増減の理由を簡単に説明することは困難と思われます。
▼見出しとなった「小学校教員で2倍を2年続けて割った」ことは大きな問題ですが、一番の問題は、2倍を割った主な理由である、教員採用試験の志願者数が直近10年間で約30%も減ったことです。私ならば、見出しを「教員志願者数10年間で30%減、倍率2倍を割る」とでもするところです。このような急激な減少の主な理由は、多くの若者が公立学校教員の勤務条件の厳しさを知るようになり、たとえ教員に魅力を感じていても、自分の生活を守るためにやむを得ず教員になろうとしなくなったことです。
▼全国で2800人の教員不足をNHKが8月2日の夜に報じました( NHKニュース「残業月90時間 学校がもう回らない… 教員不足全国2800人の現実」はこちら )。これも、教員の厳しい勤務環境から教員になろうとする人が少なくなっていることが主な要因のようです。
▼これらのことは、まさに学校の教育水準の持続可能性に危機が訪れていることを示しています。部活動の地域移行では地域には相応しい指導者がいないという課題がありますが、学校にも相応しい指導者(教員)がいなくなってしまうという事態が、今やすぐ目の前に迫ってきているようです。「学校崩壊」の言葉が脳裏をよぎります。このような状態の改善に少しでも力を尽くしたいということが、私が市議会議員に立候補した理由の一つです。しかし市単位ではなんともならないことも多いです。県教委のHさん、Oさん、Kさんの頑張りを期待しています。小中学校の学校運営の改革が急務です。今までの学校文化、教員風土から離れて、全く新しい発想の取組に挑戦してください。手遅れにならないうちに。
▼なお、公立学校教員の年齢構成は「岐阜県教育のすがた」にグラフが掲載されているのでご紹介します。
NHKニュース「残業月90時間 学校がもう回らない… 教員不足全国2800人の現実」はこちら
YAHOOニュース「単なる勤務時間短縮では先生を救えない理由 小樽市立朝里中・森万喜子校長の思う本質は」はこちら
岐阜県教育委員会の教員採用ホームページはこちら
「岐阜県教育のすがた」はこちら
230 教員不足ってどういうこと?
208 教員採用試験 ついに2倍割る
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