356 教員働き方改革 骨太方針2024 (20240628)

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▼2024/5/14に、すべての公立学校教員へ一律支給されている残業手当相当額(教職調整額)を月給4%から10%へ増額するという、教員の働き方改革に関する中教審提言が発表されました。この残業手当相当額(教職調整額)は、教員を「子どものため」という魔法の言葉で追い込んで、家庭を犠牲にしてでも働かせるための「定額働かせ放題手当」とも言われています。
▼対して、2024/5/21に、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会が建議(意見書)を発表し、中教審の10%へ増額するという提言に真っ向から反対しました。
▼そうしたところ、今度は2024/6/21に、内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針2024」、いわゆる「骨太方針2024」が閣議決定されました。こちらには、「教職調整額の水準を少なくとも10%以上に引き上げることが必要などとした中教審提言を踏まえるとともに・・・2025年通常国会へ給特法改正案を提出・・・」と明記されました。
▼これで、文科省、財務省、内閣府それぞれの基本的な立場が判明しました。まだまだ言葉の羅列だけで、予算措置や法改正へと進むかどうか分かりませんが、一歩だけ前へ進んだような気もします
▼もっとも、教員の残業手当相当額を増やすことは、決して、教員が直面している学校の困難な状況に対する本質的な解決策ではありません。その場しのぎの弥縫策に過ぎません。教員の仕事量を一日8時間の勤務時間内で完了できる量にすることが、本質的な解決策です。それが実現しない限りは、たとえ給料を多くしても学校現場はブラック職場であり続け、質の高い教員志願者は減り続け、学校教育は崩壊に向かって進み続けるような気がします。
▼ところで、5/21発表の財務省の建議には「教員給与は、時間外勤務手当を含む一般行政職給与より高い」「教員の退職手当は一般行政職より優遇」という指摘があります。「教員は高い給料をもらっているのから我慢せよ」「教員は優遇されているのだからワガママ言うな」と世間を誘導したいのでしょうか。
▼財務省は、わざと人材確保法など無いかのように、難癖をつけて教員を貶めるような手段を使うのではなく、潔く「教員の勤務条件や給与を、一般行政職と全く同じにすれば良い」と私は思います。当然すべての教員が喜んで受け入れると思います。もちろん、一般行政職と同じように、時間外勤務手当を実績に応じて支給し、勤務場所を離れて自由に過ごせる45分間の休憩時間を保障することは当然です。
▼NHKの朝ドラで、主人公が新憲法について「憲法第14条 すべて国民は法の下に平等である 社会的身分により差別されない」と語っていました。憲法の定めに従って、労働基準法を教員にも一般行政職員にも平等に適用すべきことは、当然だと思います。行政は憲法に従おう。

東洋経済education × ICT編集部『なぜ教師は「魅力的な職業」ではなくなったのか、優秀な人材確保のための3条件 「多忙・授業以外の負担大・残業代なし」への対処』をご覧ください

財政審(財務省)の建議の参考資料関係分

骨太方針(政府)の本文関係分

349 教員働き方改革_中教審提言 (20240514)
344 教員の残業手当支給へ前進? (20240413)
343 教員勤務実態調査 (20240405)

354 新しい学校構想検討委 (20240614)

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▼2024/5/21に「第7回羽島市新しい時代の学校構想検討委員会」を傍聴しました。羽島市の教育委員2人も傍聴されていました。ありがたいことです。今回のテーマは「羽島市が目指す教育と願う子どもの姿を具現する教育のあり方」「子どもたちが安心して豊かに学べる教育制度、学校制度・運営、施設のあり方」でした。
▼教育に関する議論では、自らの学校生活や子育て経験に基づいて、多様な意見が飛び交い、論点が明確にならないことが多いのですが、今回の議論でも、残念ながらその傾向が見受けられました。次の第8回・第9回で審議整理・答申案を議論すると聞いた記憶があるのですが、県教育行政の経験者として気になる、いわゆる落としどころがどこにあるのか、私にはまだ見えてきません。
▼私としては、既に実施が決定している中学校への統一制服の導入や、中学校の部活動地域クラブ化による小中学生へのスポーツや文化の活動環境提供などを足がかりに、インターネットをフル活用して、児童会や生徒会活動を市全体で実施したり、総合的な学習や探求的な活動を全市的な交流の中で実施したりして、羽島市全体を一つの学園として教育活動を展開するという構想が面白いと思っています。「北方町や山県市の二番煎じでは」と仰る方がいらっしゃるかもしれませんが、先陣争いなどどうでもよく、羽島市の子ども達の成長により役立つ、新しい取り組みに積極的に挑戦することが一番重要だと思っています。
▼残り数回の検討委員会で素晴らしい構想がまとまることを期待しています。

第7回羽島市新しい時代の学校構想検討委員会の会議要旨はこちらへ

352 小学校のさつまいも栽培支援 (20240531)

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▼2024/5/21に、地元老人会のメンバーとして、地元小学校1・2年生のさつまいも定植のお手伝いをしました。
▼前の週に畑を耕して畝立てして2列だけマルチを敷いておいたので準備万端です。小学生たちは、老人会のメンバーから植え方を教えてもらいながら、「さつまいもさん、ねんねして、お布団掛けて、大きくなーれ」と苗を植えました。
▼これから収穫まで、小学校と一緒に、水やり、草取りなど老人会のメンバーがお世話をします。秋に小学生と一緒に収穫するのが楽しみです。

323 小学校さつまいも掘り学習 (20231110)
299 小学生のサツマイモ植えお手伝い (20230526)

349 教員働き方改革_中教審提言 (20240514)

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▼2024/5/13に中央教育審議会初等中等教育分科会質の高い教師の確保特別部会『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)』を盛山正仁文部科学大臣へ提出しました。
▼主な内容は、①全教員へ一律支給されている残業手当て相当額を月給4%から10%へ増額する(残業実績に基づく支給は見送り)、②学級担任手当てを新規支給、③11時間の勤務時間インターバルを導入(夜10時に退勤したら翌日出勤は11時間後の朝9時以降)などです。(詳細は下の【概要】をご確認ください)
▼実現のためには年2000億円以上の財源が必要ですが、来年の通常国会に予定されている「教員給与特別措置法(給特法)」改正案の審議が注目されます。今回の中教審の提言が学校教育崩壊を阻止するための有効な方策かはかなり疑問ですが、たとえ小さな一歩に過ぎなくても前に進むことは歓迎すべきことかもしれません。しかし、法律が改正されてこそやっと実現ということになるので、まだまだどうなるかは分かりません。
▼問題の先送りが、今の学校教育崩壊一歩手前の状況を作り出してきたと思うのですが、今回も問題の先送りと思えてなりません。「戦力の逐次投入」という日本の伝統芸なのかもしれませんが、しっかりと現状を分析・検証して、根本の部分にズバッと手をつけてほしいものです。
教員1人当たりの仕事量を、8時間勤務で完了できる量にすることが最も根本的なことです。そして、そうなっていない理由は何か、そうならない理由は何か、何をどうするとそうすることができるのか、ここの部分を明確に分析することが問題解決の第一歩です。さらに、分析に基づいて解決策を立案し、その策を実施する工程表を作成し、その工程表を着実に実現してこそ、子ども達がより良い学校教育の中で成長をすることができます。財源問題も徐々に予算を増額していけば社会の理解を得られるのではないでしょうか。そして将来展望がはっきり見えてくれば、学校はあと少しの間は頑張ることができるかもしれません。しかし、小手先の改善ポーズだけでは学校教育崩壊が進むだけです。

中教審『「令和の日本型学校教育」を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について(審議のまとめ)』はこちらからどうぞ

中教審「質の高い教師の確保特別部会」の審議状況はこちらからどうぞ

「審議不十分」 中教審の教員不足解消策、教職員組合が相次ぎ批判 (毎日新聞ニュース)

 



344 教員の残業手当支給へ前進? (20240413)

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公立学校の先生の残業代が未支給となっていることが問題となっています(国立や私立の学校は残業手当が支給されます)。中央教育審議会ではこの問題への対応が審議されています。その審議の様子が新聞報道されました。
▼1か月30日間とすると平日は22日、一日8時間勤務とすると8時間/日✕22日/月=176時間/月の勤務となります。給料月額の10%分の残業手当は17.6時間/月の残業分に相当することになりそうです。
▼ほとんど残業をしない先生でも給料月額の10%相当分の残業代が自動的に支給されることは、若手や中堅の先生など、毎日とても忙しくて月70時間以上も残業しなければならない先生からすると、とても納得はできないだろうし、社会的にも理解を得にくいかもしれません。
▼教員の働き方改革(残業削減)のためには、労働基準法の定めどおりに、各教員の実際の残業時間に対応した残業手当を支給すべきと思いますが、ひょっとするとちょっとだけ前進したのかもしれません。
▼とはいうものの、最終的には、財源の問題を解決して、国会で法改正や予算が議決されないと実現しないので、先行きはまだまだ不透明です。

中教審 質の高い教師の確保特別部会(第11回) 配付資料
304 教員働き方改革を中教審へ諮問 (20230630)