2020/7/16の新聞に、早ければ2022年春にも高校普通科に加えて「学際融合科」「地域探求科」を設ける案の記事が載りました。どこからそんな話が出てきたのかと調べると、2020/7/10の文部科学大臣定例記者会見で大臣が説明したようです。大臣の話の大元はどこかというと、中教審初等中等教育分科会の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の第9回(2020/7/9)の議論からのようです。となると、観測気球でしょうか。なお、このワーキンググループの主査は京都堀川高校で有名になった荒瀬克己氏、主査代理は京都府教育長です。他の委員はその多くが都会の方々です。
1994年度(平6)にも、普通科や高校教育に対して同様の課題が指摘され、その解決策として普通科・専門学科に加えて新たに総合学科が新設されました。当時の文科省は、全高校の1/3を普通科、1/3を専門学科、1/3を新しい総合学科にして、高校教育を改革すると言っていました。現状は見ての通りです。岐阜総合学園高校のような充実した総合学科を設置している都道府県は岐阜県を含め僅かです。今回は普通科に新たな学科を加える案のようですが、どう進むのでしょうか。総合学科が広まらなかった理由をしっかり検証すべきでしょうね。
もう一点。様々な特色を持つ高校があり、そこから自分の興味関心、進路希望にあう高校を選択して進学するということは素晴らしいことです。是非ともそのような環境で子ども達を学ばせたいと思います。しかし現実は、通学にかかる時間や経費などの制限から通学圏内にある高校から選択しなければなりません。そして、多くの地域が数校の中からしか選択できません。農業や工業関係を学びたくてもその高校が遠くて進学できない地域もあります。そのような地方の現実を踏まえた高校の特色化、学びの内容の特色化を検討してほしいものです。「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の都会出身の委員の皆様、よろしくお願いします。都会の課題と地方の課題は異なります。 ( HP表示回数 18,446カウント )
萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月10日)の一部
(略)中教審のですね、「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」では、普通科改革や地域社会との協働など、新時代に対応した高等学校教育の在り方について、ご議論をいただいているところです。昨日の会議では、普通科改革の方向性として、例えばSDGsなどの学際的・科学的な学びに重点的に取り組む新たな学科ですとか、地域社会を抱える課題解決に向けた学びの重点的に取り組む新たな学科の創設などを検討するとともに、専門学科の充実方策として、地域の産業界を核とした人材育成の推進の在り方について検討をいただいたところです。また、域内に公立学校が0校又は1校しかない市町村が約6割とする資料も踏まえ、離島や中山間地域などのこれからの小規模高校の在り方について、ICTも活用して、複数の高等学校が連携・協働した学校間連携の在り方について検討を行ったところです。(略)公立学校の統廃合は、設置者である地方自治体において適切に判断いただくべきものではありますけれども、文科省としては、高等学校が担う地域振興の核としての役割は、今後も極めて重要と考えております。(略)
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