53 市町村合併財政支援

10/21羽島市行政改革推進委員会を傍聴しました。議題は令和2~6年度の5年間の市行政改革プランの検討でした。行革プラン案は下のリンクを参照してください。ここでは市の説明から2点を取り上げます。

  • 公共施設の老朽化。築後30年以上経過している公共施設は全体の60%。更新費用は平成27年度からの40年間で約1800億円(年平均約45億円、過去5年間の投資額が年平均31億円なので年約14億円が不足)と試算。
  • 市町村合併による国の財政措置の影響。(1)地方交付税の合併算定替(市町村合併後に地方交付税が減少しないようにする優遇措置)。岐阜県内の合併市町村では合併後10年経過後に5年間激変緩和があり併せて15年間措置(県内は令2年度には終了、例:柳津町と合併した岐阜市の平成20年度地方交付税は5.8億円の加算、多い市では地方交付税の35%相当の加算)。(2)合併特例債(合併に伴って実施する事業に対して国が債権償還額の約7割を地方交付税で負担)。当初は合併後10年間のみに限っていたが、その後合併後15年間に延長され、2018年には合併後20年に再延長

私は、地方交付税は国の税収によって全国へ配分する総額が決まるので、合併した市町村に増額すれば、その分だけ、合併しなかった市町村は減額されると認識しています(間違っていたらご連絡ください)。何回も何回も延長することは、合併するかどうかの判断に大きな影響を与える条件を後から変更するわけなので、後出しじゃんけんと同じではないでしょうか。合併するかどうかの判断に当たって、合併した場合には合併に対する国の財政措置が終了する合併10~15年後に財政危機が来るかもしれない、と心配したのは何だったのでしょうか。 (HP表示回数 8,463カウント)

羽島市行政改革プラン(案)

52 いじめ認知最多

10/18各新聞で文科省が実施した「平成30年度問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」が報道されました。調査対象は国公私立の全ての学校です。いじめ認知件数最多など調査結果の主な特徴は、新聞記事や末尾にリンクを貼った文科省調査結果報告書を御覧ください。ここでは、新聞記事等ではあまり触れられていないことで、私が気になった点を取り上げました。

  • 自殺した児童生徒が前年度250人から332人へ急増。学校から報告のあった自殺した児童生徒数は、小学校5人(前年度6人)、中学校100人(前年度84人)、高校227人(前年度160人)。直近5年間(平26→30年度)の推移は、小学校7⇒4⇒4⇒6⇒5人、中学校54⇒56⇒69⇒84⇒100人、高校173⇒171⇒155⇒172⇒160⇒227人、合計232⇒215⇒245⇒250⇒332人。中学校は5年間でほぼ2倍、高校は平成30年度に急増。
  • 小学校において、暴力行為発生件数が前年度28,315件から36,536件へ急増。加害児童数が前年度23,440人から31,107人へ、その内で関係機関で何らかの措置がとられた児童数は前年度241人から311人へ急増。中学校、高校は対前年度で大きな変化は無し。
  • 少子化で子どもの人数は減っているはずなのに何故増えているのだろうか。統計の精度の問題だろうか。何が起こっているのだろうか。県別の情報が欲しい。

岐阜新聞記事には岐阜県教委の「自分の気持ちをコントロールできない子どもが増えていると感じる」というコメントがあったが、その背景は何だろう。社会の変化や親や教員の多忙化に伴って家庭と学校に余裕が無くなり、子どもの発達や心の変化を受け止められなくなってきているのだろうか。    (HP表示回数 8,310 カウント)

平成30年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について(R01.10.17 文科省児童生徒課)

51 英語教育と大学入試

2021年1月実施大学入学共通テスト(現在のセンター試験の後継版)から導入される英語民間検定試験について議論されています。英語について、書く、読む、聞くの3技能だけでなく、話すを加えた4技能を問うように改善する中で、国数理社等のように国が直接実施するのではなく、英語は民間試験を活用することに決まったのですが、その英語民間試験の詳細が分かりにくく、また、大学側の合否判定への利用方法の詳細も不明なために、受験生の不安が大きく様々な議論が起きているようです。

萩生田文科大臣は10/1の記者会見でこの英語民間検定試験の導入について「高校生は、このシステムの実施を念頭に既に準備を進めており、システムは当初の予定通り2020年度から導入することとしますが、初年度はいわば「精度向上期間」、この精度は精密さを高めるための期間ということです。今後に向け、高校・大学関係者との間でも協議をし、より多くの大学がシステムを利用するとともに、受験生がより一層安心して、受験することができるように、システム利用の改善に取り組んでまいりたいと思います。」と説明しました。受験生からは実験台にはしないで欲しいというような反響もあるようです。

大学入試英語ポータルサイト(文部科学省)

文部科学省の英語教育担当部署が政策立案をしていると思われますが、今までのことを思い起こすと高校現場が不安に駆られるのもやむを得ないかもしれません。

  • 2002年度スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール(SELHi)がスタートしたが2007年度で新規指定終了。(華々しく登場したけれど僅か6年で新規指定終了。同時に登場したスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)は大きな成果を上げ、現在も継続している。)
  • 2014年度スーパー・グローバル・ハイスクール(SGH)がスタートしたが2016年度で新規指定終了。(華々しく登場したけれど僅か3年で新規指定終了。2019年度から焼き直しの事業を開始するという噂があったけれどどうなったのだろう。)
  • 2020年度から小学校の英語教科化(ある日突然、英語の指導法など全く学んだこともない教員、英語が苦手で小学校勤務を選んだ教員などに英語の授業をさせては、今から英語を勉強して授業しなければならない教員だけでなく、その授業で学ぶ子ども達も可哀想。現場任せの状況。)
  • 小学校、中学校、高等学校における各学年毎の学習到達目標が不明確(CAN-DO リストと表現されることもあるが、これが明確になっていなくて現場任せの状態。)
  • 国際バカロレア認定校等を2018年までに200校 などなど

余談を二点。一点目は中学・高校・大学と10年間も英語を学んだのに全く使えないのは学校の英語教育が悪いと言われることについて。それを否定はしないが、普段英語を必要としない人は英語を忘れる、英語力は身に付かない、ということも英語が使えない要素の一つ。私は大学卒業後の勤務では英語の必要性がほとんど無かった。なので、大学卒業時が英語力のピークでそれ以降は低下するだけ。使う必要性がなければ低下も当然。日本では、外国映画も外国小説・評論も日本語で鑑賞・読書できる。そうでない国では英語が必要なので学校卒業後も英語力が高く維持される。二つ目、大学入試は多く点数を取った人が合格する仕組み。英語民間検定を大学入試に使用すれば、受験生はベネッセなどの民間業者から最も高得点・高評価を得やすい業者を選択する。業者は営利を求める側面があるので、多くの受験生が選択してくれるように出題方法や難易度を工夫する。そして・・・。 (HP表示回数 8,178 カウント)

50 学校へ行かない選択肢

10/5岐阜新聞に、岐阜市教育長が「学校は命を懸けてまで行くところではない」と、岐阜県教育長が「児童生徒が命に関わるようなつらさを抱えている状況では、緊急避難として学校に行かない選択肢もある」と議会質問に答弁したとありました。命より大事なものはないのだから至極当然のことです。大切なことは、イジメ以外の要因も含め目の前の子どもが「(学校へ行くと)命を失うかもしれない」という状況になっていることを、周囲の教員や親、友人が感じ取ること、さらには感じ取る方法を誰もが学ぶことではないでしょうか。

ところで、この答弁の背景らしい「義務教育だから子どもは小中学校へ行かなければならない」は正しいでしょうか。憲法第26条第1項には「すべて国民は・・・教育を受ける権利を有する」、第2項には「その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」と、教育基本法第4条には「国民は、その保護する子女に、9年の普通教育を受けさせる義務を負う」と、学校教育法第22条(39条)では「保護者は・・・小学校(中学校)・・・に就学させる義務を負う。」と定められています。つまり、子どもではなく、子どもの保護者に就学させる義務が課せられています。よって、正しくは「義務教育だから保護者は子どもを小中学校へ行せなければならない」です。小中学校へ行くことは子どもにとっては権利であり義務ではないのです。少しは子どもの精神的な重荷が減るかな。

49 羽島市民病院再編統合論議

9/26に厚生労働省が2017年度時点での再編統合の議論が必要な公立・公的病院424病院を公表しました。(1)主にがん・心疾患・脳卒中などの高度な医療件数(2)類似病院が車で20分以内にあるか、の2点を分析して俎上にあげたようです。岐阜県内では9病院が該当し羽島市民病院も含まれます。羽島市民病院は、(1)はクリアしていますが(2)に引っかかり再編統合議論が必要な病院と分類されたようです。もし、市役所や岐阜羽島ICの場所にあれば類似病院まで20分超となるので(2)には該当せず、再編統合議論対象にならなかったかもしれません。いずれにしても私は公私問わず羽島市内に病院(ベッド数20床以上)が少なくとも1つは必要だと思います。(県立高校も同じです。風評被害がとても心配です。)

厚生労働省作成資料は以下のPDFファイルでどうぞ

資料を読んで、羽島市民病院は、岐阜県内の分析対象30病院中、(1)H28/7~H29/6の救急車受入件数は2032件で11番目の多さ、(2)H29の高度急性期・急性期病床稼働率は78%で同じく12番目の高さ、と分かりました。このような状況なのに、隣接町に民間類似病院が一つあるというだけで、羽島市内唯一の病院を再編統合の議論の対象にすべきというのは乱暴な話です。県内各市に病院を公立に限らず少なくとも一つは残すという前提で議論するべきというのも説得力のある提言だと思います。とは言うものの、病院経営改善は必要なので、医師等専門家の意見を伺い、どうしたら良いかを勉強します。

県内分析対象30病院の内で設置主体が市町村と思われる病院(〇印は再編統合議論対象病院)は、岐阜市民、〇羽島市民、大垣市民、〇国保白鳥、郡上市民 、市立美濃、〇国保坂下〇多治見市民、土岐市立総合、中津川市民、〇市立恵那、下呂市立金山、〇国保飛騨市民の13病院でした。

羽島市民病院の単年度収支については以下の項目をどうぞ

47羽島市民病院の収支