214 「気候変動と経済」三菱電機元社長講演

[通算HP閲覧回数 45,696回 (2021/11/12現在)、連絡先:info@minatani-kiyoshi.com]
▼2021/11/9に、母校であり校長として勤務もした岐阜高校で生徒と一緒に同窓会主催講演会を拝聴しました。講師は私の1学年下の元三菱電機社長杉山武史氏(S50年卒)です。演題は「『気候変動と経済』-今から始めること」でした。
▼「未来を変えるエンジニア」になりたくて工学部から三菱電機へ進まれたそうです。社会に役立つ「形のあるモノ」を造る喜び、造ってきた誇りが講演から伝わってきました。
▼講演では、時代を約10年毎に区切って、各時代の特徴を、高度成長、オイルショック、家電全盛とパソコン黎明、バブル隆盛と崩壊、失われた20年、と整理され、今後は気候変動を踏まえてどのように進むべきかについて話されました。
▼これからの日本産業の進路としては、今までの加工産業に代わる基幹産業を興さなければならないとされ、その基幹産業として食に関する事業を候補に挙げられました。気候変動に対応できるように、二酸化炭素排出を減らしたスマート農業や野菜工場、養殖漁業など、改善や改良ではなく本質的な変革を伴った新たな基幹産業の育成です。
▼最後には座右の銘として「人心一身」「利他の心」を説明され講演会は終了しました。
▼放課後には希望生徒約40人との座談会が開かれ、生徒からの途切れる間もない質問に対して、後輩達への熱い思いを込めて答えていただきました。杉山氏のこれまでの人生に裏打ちされた真摯な助言や示唆は、生徒にとってとても貴重な宝になったと思います。
▼杉山様、お忙しい中、本当にありがとうございました。私も、とても刺激を受け勉強になりました。




印象に残った杉山氏の言葉の幾つかを御紹介します。
〇【生徒の「人間はAIとどのように関わっていくべきか」の問に答えて】現在のAIの限界は、単一命題に対する対応(分析→結果)しかできない、複合的なことはできない(優先順位やトレードオフを考えることはできない)、こうなりたいという展望に基づいて判断することができないの3点。なので、単純作業はなくなるかもしれないが、人間が活躍する場は多くある。
〇【生徒の「社長になれた理由は何か」の問に答えて】与えられた仕事をしっかりやった。そのために専門外の分野も含め必死に勉強し努力した。学ぶことが大事だし自分の土台にもなる。勉強したり努力したりした時に仲間に助けられ周りとの関係性が築かれた。勉強する、人を大切にする、役割を果たす、この3点が大切。
〇【生徒の「十分便利になったけれどまだ成長を目指すべきか」の問に答えて】成長を目指すことは必要。成長を目指すことによって新しいものが生まれる。しかし、これからは成長とはいっても、人の富を増やすことから、不安の解消や楽しみの機会など生活の充実へと、成長の意味づけは変わっていくだろう。
1つの側面だけを見ていてはいけない(トレードオフとトレードオン)。
〇社長は偉い人ではない。経営判断を最終的に決定する役割を担う立場に過ぎない。〇創造の根本にあるものは興味や疑問。なぜかということをその背景から考える習慣を持って欲しい
〇何事も人がベース。チームとして人の集まりが力を持つ。

別件ですが『岐阜高校の校歌と空撮動画』です。(音が出ます)
校舎はすっかり新しくなりましたが懐かしいですね。
私が校長の時に昭和49年卒の方々にお願いして作成しました。

213 小学校のさつまいも収穫

[通算HP閲覧回数 45,345回 (2021/11/5現在)、連絡先:info@minatani-kiyoshi.com]
▼2021/11/2に地元老人会の方々と一緒に、地元小学校1・2年生の生活科で実施されたサツマイモ収穫の手伝いをしました。
▼5月に植えた苗が育って丸々としたサツマイモがとれ、先生も子ども達も大興奮でした。苗植え( 188 地元小学校のサツマイモ作り )はコロナ過のため先生と老人会だけで行いましたが、現在は緊急事態宣言が解除されコロナ禍も落ち着いてきているので、感染予防対策を万全にした上で、子ども達が太陽の下で元気に収穫できて良かったです。
▼子ども達は、サツマイモの次にご近所の方のご厚意で畑のミカンも収穫させてもらい、休憩しながら食べていました。畑から収穫してそれをその場でみんなと一緒に食べる体験は貴重です。
▼子ども達の様子を見ていると、スマホで調べれば得られるような知識の記憶より、体験で得られる驚き、感動、不思議、興味、好奇心のほうが、子ども達の成長にずっと大切で役立つことが実感できます。

188 地元小学校のサツマイモ作り
147 小学生の体験学習
76 小学校農業体験感謝の会
12 小学校農業体験学習

210 定年後も雇用延長で教員を続けられるか?

(通算HP閲覧回数 44,691回  2021/10/15現在  連絡先:info@minatani-kiyoshi.com)
▼教員の働き方改革シリーズ第3弾(最終回)
▼2021/7/18岐阜新聞に、雇用延長等の仕組みを利用して定年退職後も学校で働き続けている教員の記事がありました。記事では、定年退職した校長の様子を中心に紹介されています。しかしこの記事内容では、教員の定年退職後の状況について、ある一面だけを紹介して読者をミスリードしてしまう可能性があると思います。
▼学校の教員には校長、教頭という管理職と、教諭という普通の先生がいます。記事のように、管理職には定年退職後も学校に残って再び校長を務めたり初任者の先生の指導を担当したりする方がいます。では、この記事には登場しない、普通の先生(教諭)の定年退職後はどのようでしょうか。私が知る限りでは、小学校ではその激務から二度と学級担任として教室に戻りたくないと思われる先生が多いようです。
▼岐阜県内の小学校には、先生が出産のために産育休で休んでも、あまりの勤務の厳しさから補充の先生が見つからず、残った先生で産育休の先生の仕事を分担して、更に更に厳しい職場となってしまっている学校もあります。私は、いつか破綻してしまうのではないかととても心配しています。
▼国や県のことですので市議会議員にできることは限られていますが、可能な限り力を尽くそうと決意を新たにしています。議員選挙に立候補した理由の一つでもあるし。

 

▼「教職とは何か」は重要なテーマです。しかし、学校を取り巻く環境が大きく変化した現代では、自分自身が昔の経験から得たものを分かり易く語っても、「これからの社会における教職とは何か」というテーマには対応しきれない気がします。教員の働き方改革の本質を理解して、その必要性と各教員が改革を実践すべき理由を、是非とも若い教員へ伝え指導して欲しいものです。
▼「大量採用抑制」も重要なテーマですが、少子化が進んでいるのになぜ教員が不足しているのでしょうか。なぜ、年齢構成が偏ったのでしょうか。岐阜県の行財政改革で、教員の新規採用数を抑制し臨時教員を増やすことによって人件費を削減したのもその理由の一つではないでしょうか。そこに触れないと問題の本質は伝わらないのではないかと思われます。
▼地元密着の岐阜新聞、頑張れー!!

【教員の働き方改革シリーズ第2弾】
209 先生の残業手当不支給に判決

【教員の働き方改革シリーズ第1弾】
208 教員採用試験 ついに2倍割る

209 先生の残業手当不支給に判決

【通算HP閲覧回数 44,425回 (2021/10/8現在) , 連絡先:info@minatani-kiyoshi.com】
▼2021/10/2の中日新聞に「公立学校教員の月平均60時間の時間外労働に対して「労働基準法(労基法)」に定める残業代を支払わないのは違法」という訴訟のさいたま地裁判決が掲載されました。判決は(「公立学校教員定額働かせ放題法」とも揶揄される)「教職員給与特別措置法(給特法)」の存在により敗訴(棄却)でしたが、(労基法に定める残業代を支払わないまま、給特法で規定する時間外労働勤務命令が可能な超勤4項目以外の)法定労働時間を超えた勤務を続けさせた場合には国家賠償法に基づく損害賠償責任を負う」という見解が示されたようです。
▼今後は損害賠償請求の訴訟が起きそうですが、訴える相手は任命権者であり残業代支払者でもある県教委か、時間外勤務の服務監督権者である市町村教委か、どちらになるのでしょうか。
▼また、判決では「判決のまとめ」で「(残業代を支払わない代わりに月6時間程度の残業代に相当する月給4%を一律で支給する給特法は)もはや教育現場の実情に適合していないのではないか」「現場の教職員の意見に真摯に耳を傾け」「給特法を含めた給与体系の見直しなどを早急に進め」などの指摘があったようです。
▼このままでは、岐阜県のように公立小学校教員採用試験の倍率が2倍を切る( 208 教員採用試験 ついに2倍割る を参照 )など優秀な人材の確保が難しくなりそうです。しかし、公立学校教員の悲痛な声( 180 #教師のバトン を参照 )に対して文部科学省の反応は鈍い。相次ぐ検査不正問題が起きた三菱電機では、引責辞任した会長が記者会見で「最も大きな課題は経営層と現場の断絶だった」と述べたようです。経営層が文部科学省、現場が学校(県教委・市町村教委)ですね。
▼今度の文部科学大臣は末松信介参議院議員(関西学院大卒、兵庫県議6期、昭和30年12月に神戸市西区生まれ)。大都会育ちの国立大附属中学、私立高校卒業で、公教育分野にはあまり縁が無さそうに見えるけれど期待してもよいかな。

208 教員採用試験 ついに2倍割る
194 教員免許更新制の見直し
180 #教師のバトン
173 小学校教科担任制と臨時教員数
172 小学校教科担任制と教員採用
171 学校教育のこれから(中教審答申)
62 教員の休日まとめ取り法案
4 忙しすぎる先生の現状を紹介する動画

208 教員採用試験 ついに2倍割る (20211004)

(通算HP閲覧回数 44,269回  2021/10/4現在  連絡先:info@minatani-kiyoshi.com)
2021/7/18の岐阜新聞によると、7/17に実施された岐阜県公立学校教員採用試験(小学校)が、採用予定数295人程度に対して志願者数587人で、倍率が1.99倍とついに2倍を割ったそうです。受験しなかったり、合格しても辞退したりする人もいるので、実質倍率はもっと低いと思われます。
▼教育の質を維持するためには、大学在学中から志を持って切磋琢磨しなければ教員採用試験に合格できないという環境が必要で、2人希望者がいればその一方は公立小学校の先生になるという現状は、保護者にとっては不安だと思います。SDGsの目標4「教育」に示される、持続可能な「質の高い教育の確保」という点からも大きな危機と言えます。
▼志願者減の原因は様々あるのでしょうが、最も大きな要因は、教職の魅力の有無より「学校はブラックだから」という、長時間労働なのに残業手当・休日勤務手当が支給されない勤務条件の悪さだと思われます。
▼教員の働き方改革が叫ばれていますが、県教委教職員課長(文科省から出向)コメントの「ストレスや疲労を把握する仕組」などは、「ブラック職場から身を守る術を教員自ら身につけなさい」と言われているようで、「学校はブラックだから」という志願者減の理由に対する対策としてはピントがずれているような気がします。
▼対して県教委教育長は「教員という職業に夢を持つことが優秀な人材の確保につながる」と答弁(10/1県議会)しています。教員出身はひと味違いますね。是非とも、公立小中学校が夢を持てる職場となるよう、具体的で効果が現れるような対策をお願いします。(堀君、宗、香田さん頑張れー! 羽島市議会から応援しています)
▼教員志願者を増やすために教員の勤務条件を改善するには、任命権者である県教委自らが、目に見えるような決断・行動をする必要があります。私のもとへは、羽島市外の公立小中学校女性教員から「必要な育児休業(育児短時間勤務・育児部分休業)を取得できる職場ではない」という訴え届いています。男性の育休推進の前に、女性の育児休業の保障は勤務環境の基礎基本です。

180 #教師のバトン
172 小学校教科担任制と教員採用
45 小中教員の研修校
4 忙しすぎる先生の現状を紹介する動画