376 羽島市長選情報(4) 公約比較 (20241115)

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▼11/24投開票の羽島市長選は、議会の半数を超える自民系と公明系の議員が支援し自民党・公明党・連合岐阜・自治労岐阜が推薦する現職の松井さとし氏、そして新人の、議会の共産・立憲・維新と若干の自民系の議員が支援し野党統一戦線候補を標榜する川瀬淳一氏、さらに牧義仁氏入山修氏の4人の戦いになります。
▼その中で、積極的に活動していると思われる松井さとし氏川瀬淳一氏公約を比較してみました。かなり長いですが、興味・関心のある方は御一読ください。
▼なお、取り上げる公約や順序は、最近新聞折込された川瀬氏のチラシに依ります。申し訳ありませんが松井氏だけの公約には触れていません。(新人有利なように配慮しました)
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「最も重点的に取り組む分野」
●川瀬氏⇒子育てを全力で支援します
●松井氏⇒
子育て支援策の推進
●私のコメント⇒両候補者とも同じなので争点にはならない。
「小中学校、幼稚園・保育園の給食費無償化」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
公約として記載している。
●私のコメント⇒両候補者とも公約としているので争点にはならない。ただし、羽島市の学校給食の食材費は一食あたり約300円、年間約3億円。この財源を検討した上での公約かどうかの見極めが、川瀬氏と松井氏のどちらが市長に相応しいかの判断ポイントだろう。
「3歳未満児の保育料を無償化」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
公約としていないが、幼稚園、保育園園舎の計画的な改修を公約として記載している。
●私のコメント⇒両候補とも保育環境の充実を公約としているが、優先順位に違いがある。
川瀬氏公約の3歳未満児の保育料無償化が実現すると、現在の入園希望者だけでなく、市内の多くの3歳未満児が短時間入園などを含め入園を希望する事態が起こるかも。保育料無償化の財源が心配だけど、公平性の担保や保育園の収容力、保育士の確保も心配。まずは短時間も含めた希望者全員を受け入れられるように保育園を整備することが必要ではないだろうか。川瀬氏のチラシ等によると発展途上国15年間在住でタイから今年10月帰国らしいが、日本の複雑な保育園制度の理解度が心配。なお、川瀬氏は園舎改修には触れていない。
松井氏の公約の園舎改修は、現在の園舎の多くが老朽化していて各園から改修に対する助成希望が殺到していることが背景にありそう。松井氏は、3歳未満児の保育料無償化には触れていないが、財源に限りがある中、園児の安全安心の確保を最優先させる方針のようである。
「小中学校の体育館にエアコンを設置」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
公約として記載している。ただし計画的導入としている。
●私のコメント⇒両候補者とも公約としているので争点にはならない。
エアコンを設置する初期経費に加えて電気代などのランニング経費も必要。学校体育館の断熱性能、体育館内の巨大空間が冷えるまでの所要時間などから、体育の授業や集会などで子ども達が熱中症にならないように体育館を冷やすためには、教室同様に、登校時から下校時まで体育館のエアコンを常時動かし続けなければならないだろう。
そうなると多額の電気代が必要になる。体育館にエアコンを設置した他市町の学校では、十分な電気代が予算措置されないために体育の授業中のエアコン使用を制限されることもあるという、何のためにエアコンを設置したのか分からない事態も起きているらしい。
松井氏の公約のように、エアコン設置経費だけでなく毎年発生する多額の電気代も考慮した「計画的な導入」が妥当かもしれない。
「安心・安全な通学路の整備」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
既に取り組んでおり着実に進めてもいるので、公約としてわざわざ記載していないと思われる。
私のコメント⇒既に実施されていることなので争点にはならない。
2019年大津園児死傷事故、2021年八街児童5人死傷事故などを契機に、市内でも通学路の安全確保に向けて、歩道のガードレール設置、交差点直前の路面カラー化、学校周辺の速度規制など様々な取り組みが進められ、現在も更なる充実が図られている。
川瀬氏は発展途上国15年間在住でタイから今年10月帰国らしいので、このような現状を知らないのだろうか。市内を歩けば分かりそうだけれど。支援している市議は指摘しなかったのだろうか。これを公約に入れているのは不可解
現職の松井氏は、県や警察、教委と連携しながら、自ら今まで熱心に取り組んできたことであり、また現在も取り組んでいることなので、わざわざ公約としないことは当然だろう。この現状は市民もよく知っているだろう。
「新濃尾大橋⇔大藪大橋間の直通道路の早期開通」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
このように道路を特定した公約としては記載していないが、「長大橋の架橋促進と県道整備要望の継続」として記載している。
●私のコメント⇒「早期開通」と「県道整備要望の継続」の違いが市民には分かりにくいので明確な争点とは言いにくい。
川瀬氏公約の「早期開通」の具体が不明。支援している議員の議会発言を思い起こすと、今住んでいる市民の方にはできるだけ速やかに移転していただくなど市のお金(市民の税金)で用地を買収し、市のお金で市が市道として設計・施行し、完成後も市が将来にわたって市のお金で管理・維持しようということなのかもしれない。
羽島市は長年にわたって関係市町と一緒に県へ両大橋架橋や関連道路整備を要望してきた。そのような県や関係市町との信頼関係を裏切って市独自での「早期開通」というやり方は、県の賛同を得られるはずがない。県が賛同しなければ国からの補助金は期待できないし、完成後の県道移管も無理だろう。川瀬氏のチラシには発展途上国で15年間公共政策の手法や地方行政の在り方を学んだと書いてあるが、このような信頼関係を壊すような手法を学ばれたのだろうか。発展途上国と日本では公共政策や地方行政の手法が大きく異なっているのかもしれない。
松井氏公約は、県に県道として整備してくれるように、関係市町と共に県や国へ要望を続けてきたし、これからも要望していくというもの。市のお金を使う市道と県が整備し完成後も県が維持管理する県道の、どちらが市にとって将来的にも好条件かが、市長に相応しい人物を選択する判断ポイントだろう。
「羽島市民病院の経営改善プランの早期策定」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
「市内ただ一つの病院として今後とも全力を挙げて支援」「地方公営企業として病院運営委員会で協議に基づき対応」とより具体的な公約を記載している。
●私のコメント⇒両候補者共に「羽島市民病院を羽島市に残す」なので、明確な争点とは言いにくい。
川瀬氏公約の「経営改善プランの早期策定」はかなり不思議。なぜかというと既に策定されているから。羽島市民病院HPを見れば「羽島市民病院経営強化プラン(令和6年3月策定)」を読むことができる。そこには21ページにわたって経営改善プランが具体的にかつ詳細に書かれている。まだ8か月しか経っていないのに「経営改善プランの早期策定」とはどういうことだろう。結果検証もしないでまた策定するのだろうか。「羽島市民病院経営強化プラン(令和6年3月策定)」の存在を知らないのかな。羽島市民病院のHPを見ていないのかな。11/15の中日新聞記事を読むと記者はこのプランを御存知ないようだが、支援している市議も知らないのかな。
川瀬氏は、最初のリーフレットでは「医療ツーリズムを導入して市民病院の赤字を削減」と書いていたような記憶がある。医療ツーリズムは「海外の富裕層が日本の高度な医療技術や看護技術による最高度に充実した医療を受けるために日本へ来るツアー」のこと。こんなことを羽島市民病院で実現しようとしたら、高度医療設備整備や有名医師確保などで赤字が更に増えるのではと心配になる。
松井氏は市職員の時に市民病院事務局長として病院経営に携わっていたし、市長として市民病院の経営状況報告を毎月受けているので、松井氏は市内随一の市民病院経営のプロといえるだろう。そのプロともいえる人物が「市内ただ一つの病院を全力を挙げて支援」と明確に宣言したうえで市長となることが、市民にとっては一番重要なことのような気がする。
「グローバル教育の拡充へ英語を学ぶ環境の整備」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
実績として「義務教育学校の設立やGIGAスクール構想など先進的な教育を推進」を記載している。
●私のコメント⇒両候補者の公約や実績は、「英語を学ぶ環境の整備」と「先進的な教育の推進」に分かれているが、明確な争点とは言いにくい。
市長になる方に知っておいてほしいのは、教育委員会は市長からは独立していなければならないという日本の教育制度。「市長は教育の中身に口を出してはいけない」というのが、戦前の教育の反省であり、現在の日本の教育制度。教育委員会の仕事は教育の実施、市長の仕事は教育に予算をつけること。
そういう意味では、川瀬氏が長く住んでいた発展途上国やタイの教育の様子を私は知らないが、外国帰りの川瀬氏より松井氏のほうが日本の教育に対する理解が深そうな気がする。
「一宮市と連携、濃尾大花火大会の再開」
●川瀬氏⇒公約として記載している。
●松井氏⇒
実行委員会の判断であるが、市としては再開しない方針を表明している。
●私のコメト⇒再開するかしないか、両候補者には明確な違いがあり争点となる。
岐阜市長良川河畔の花火は、コロナ前には2回だったが、コロナ後は1回のみに減った。岐阜新聞の知人(役員)は、11人死亡・183人負傷の2001年明石花火大会歩道橋事故以降に増え続ける警備負担が大変と随分前からぼやいていた。
羽島市では羽島市花火大会実行委員会が濃尾大花火大会の終了を決定したが、岐阜市長良川と同様に警備の費用や人的負担が最大の要因だろう。岐阜市のように、市外からの観客が宿泊や飲食で市内にお金を落としていけば経済効果(市の税収増)があるが、羽島市のように、見に来た観客が直ぐに自宅へ帰ってしまうようでは経済効果は期待できそうにない。もしそうであれば、市主催で開催する場合には税収(経済効果)は増えないのに支出(市民の税金から1回数千万円を支出)はどんどん膨らんでいくばかり
なお、濃尾大花火大会は、明治から続く尾西市の花火大会に、1993年に羽島市が共催という形で加わり、その後尾西市と一宮市が合併して一宮市と羽島市の共催になった。そして2019年は木曽川の増水、さらに東京オリンピックやコロナで2021年まで3年間開催できず、2022年に羽島市花火大会実行委員会が共催から撤退して、元の一宮市(尾西市)の花火大会に戻ったという経緯らしい。最後に花火を打ち上げたのは2018年、6年前のこと。
さて市民の判断はどちらに軍配が上がるでしょうか。
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▼これまでの両候補者の活動を見ていて思うこと。①「73歳多選vs48歳フレッシュ」、②「防災機能を備えた道の駅設置」、③「行政や政治関係の人脈」。
▼①「73歳多選vs48歳フレッシュについて。年齢関係なく、どちらの候補がよりエネルギッシュ(体力と情熱がある)で、より多くの市民と会話を重ねている(市民の期待する政策を実行できる)かは、各候補者のFacebookを見てみれば分かる川瀬氏のFacebookはこちらからどうぞ松井氏のFacebookはこちらからどうぞ。「73歳多選vs48歳フレッシュ」とは異なる「情熱的な行動派vs若いけどよく分からない」という構図が見えるような気がする。
▼②「防災機能を備えた道の駅設置について。前回の市長選で沢井候補も主張していた「道の駅設置」。川瀬候補もなぜか前回の市長選同様に「道の駅設置」を主張している。しかし、松井氏はそのような主張はしていない。それはなぜか。
▼道の駅設置には国が定める「道の駅登録・案内要綱」を満たさなければならない。そしてこの要綱には「道の駅相互の機能分担の観点から、適切な位置にあること」と定められている。さらに「適切な位置」は「道の駅の設置間隔については、概ね10 km 程度の間隔があるように計画する。なお、間隔が10 km以下となる申請があった場合は、特徴の違いによるすみ分け、交通量の状況、地域の実情などを総合的に判断して決定する。」とされている。行政経験者には「他の道の駅から10 km以上離れていなければ新設できない」と読める。
▼羽島市周辺には、南濃大橋近くに「道の駅クレール平田」があり、柳津カラフルタウン近くに「道の駅柳津」がある。この2つの道の駅の間の距離は約12km。この2つの道の駅それぞれから10 km以上離れるとなると羽島市内には適切な設置場所が見当たらない。このような理由から松井氏は「道の駅設置」を主張しないのだろう。川瀬氏はどこに道の駅を設置するつもりだろうか。ひょっとして国の基準を知らないのか。支援している市議も知らないのだろうか。ネットで調べれば分かることだけれど。
▼③「行政や政治関係の人脈について。市長として羽島市を発展充実させるためには、国、県、関係市町村との信頼関係を築き連携していかなければならないことは当然。さらに企業などとの連携も必要。川瀬氏は、本人のチラシなどによると発展途上国15年間在住、タイから今年10月に帰国らしい。このような状況では、川瀬氏には、恐らく県内の政界、財界、行政の有力な関係者に知人はいないか、あるいはとても少ないと思われる。対して松井氏は羽島市長3期12年の間に築いた国、県、関係市町村との強い信頼関係がある。県内市町村長のリーダーとしても認められてもいるらしい。そして次の県知事になることがほぼ確実と思われる江崎よしひで氏と松井氏は個人的な固い絆で結ばれている。この人脈の差は川瀬氏と松井氏のどちらが市長に相応しいかの最も重要な判断ポイントかもしれない。(私も江崎よしひで氏、奥様、ご子息と個人的な細い絆で結ばれています)

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