120 学校のオンライン授業の課題

文科省初中局情報教育・外国語教育課高谷浩樹課長のコメントが初中教育ニュ-ス第389号に掲載されました。一部を引用し御紹介します。『教育現場でICT活用が進めば、意識せずとも児童生徒の日々の状況を保護者が得られるようになります。学校内の状況をリアルタイムで教育委員会や地域社会が把握できるようになります。』『先日某全国紙には『(ある)中学校長は(オンライン教育について)「どうせ慣れる前に元に戻る」と話す。現場に満ちるのは時間切れを待つ空気』との記事が掲載されました。また、昨日のネット記事では『忖度ばかりの学校現場。(新型コロナウイルスの)非常事態で求められるのは現場レベルでの柔軟な対応だが、強すぎる「横並び意識」が現場の先生たちの思いを阻んでいる。』との内容が目を引きます。類似の記事は数知れず、いずれも外の社会からは「教育の機会均等」を「時代遅れの現状維持横並び」とはき違え、新たな一歩を全く踏み出そうとしない教育現場の悲惨な姿が見えているのです。』

まさに、文科省の学校現場への責任転嫁ですね。文科省がICT活用に向けてやっと重い腰を上げたのは学校へのパソコンや校内LAN整備の一部国庫負担だけです。「日々の学校内の状況を保護者や教育委員会、地域がリアルタイムで把握できる」ための学習支援や学校運営支援のソフト整備は入っていません。デジタル教科書の整備もありません。アプリの入っていないスマホが何の役にも立たないことは御承知の通りです。そして、学校の先生方は略称「給特法」別名「教員定額働かせ放題法」により文科省の役人のような残業手当が支給されない中、「子ども達のために」という魔法の言葉のもと、朝早くから夜遅くまで仕事に追われています。そして多くの先生方が過労死ラインを超えてしまっています。このような尋常でない勤務状況の中で、先生方はICT活用をやりたくてもやる時間がないという状態なのです。このような状況を知っているはずなのに、「時代遅れの現状維持横並び意識」と批判するのは文科省による責任回避の印象操作とも言えます。教員のこんな勤務環境を今まで放置してきたのは文科省です。

ICT活用で文科省がやらなければならないのは、パソコンの導入だけでなく、情報関連機器の維持管理の外部委託、学習や学校運営の支援ソフト導入、教員の業務精選による勤務時間適正化です。学校現場に責任転嫁して批判する前にこれらを着実に実現する予算を確保して欲しいと思うのは私だけでしょうか。

2020/05/11に文科省情報教育・外国語教育課が各教育委員会等を対象に「学校の情報環境整備に関する説明会」を開催し、その映像をYouTubeで公開しています。ここでも、文科省矢野和彦審議官や高谷浩樹課長が、今までの文科省の不作為を棚に上げて、あたかも「学校現場がICTを活用したくないと思っているので導入が進まない」かのような発言を繰り広げています。多忙で過労死という瀕死の先生方が働く学校現場は見て見ぬ振り、自分が担当する政策しか触れないお役人とはいえ、如何にも情けない。  ( HP表示回数 17,803カウント )

文科省「学校の情報環境整備に関する説明会」YouTube動画

文科省説明会の配付資料

  • 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を受けた家庭での学習や校務継続のためのICTの積極的活用について(4月23日事務連絡) 00:08:07
  • 令和2年度補正予算の各施策について 00:28:39
    ・「1人1台端末」の早期実現について 00:29:14
    ・学校ネットワーク環境の全校整備について 00:42:21
    ・家庭学習のための通信機器整備支援について 00:51:32
    ・学校からの遠隔学習機能の強化について 01:05:10
    ・GIGAスクールサポーターの配置について 01:09:33
    ・障害のある児童生徒のための入出力支援装置整備について 01:28:42
    ・新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金について 01:34:17
    ・「ICT活用教育アドバイザー」の活用について 01:44:33
  • 光ファイバ未整備地域への整備支援について 01:56:07
  • 1人1台端末を学びに活かす「EdTech導入補助金」について 02:08:11