30 全国学力調査結果

4月に実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト、小学6年と中学3年の全児童生徒対象、私立学校は一部のみ参加)の結果が文部科学省から発表されました。平均正答率の順位を云々する喧噪は少なくなってきましたが、平均正答率の順位で評価をしようとする流れは相変わらずです。

岐阜県は他県と比較して、小学校が低くて中学校が高いという傾向がずーっと続いています。このことを問題にする人、問題にしない人と様々ですが、私の周囲には「中学校が良ければOKじゃないの」と言う方が多いですし、私もそう思っています。終わり良ければ全て良しではありませんが、岐阜県の戦略としてこれはこれで良いのではという考え方です。とはいうものの、小学校が低くて中学校が高い理由については、何処かで研究していただいて広く教育関係者、一般行政関係者、保護者の共通理解を図るべきでしょう。皆さんは何が要因と思われますか。

平均正答率の0.1の増減を話題にすることがありますが、例えば小学校算数では設問が14問あって平均正答率は9.3問の66.3%でした。中央値は10問、最頻値は11問、標準偏差は3.1でした。勿論正規分布ではなく、高得点側に偏った分布です。このようなテストでは0.1の増減はほとんど意味が無いと思うのですが、どうなんでしょうか。

詳細は文部科学省発表の次のPDFファイルをどうぞ。

令和元年度全国学力・学習状況調査の結果(文科省発表サマリー)

 

28 羽島市ICT活用講座

羽島市ICT活用講座に先生方に混じって参加しました。iPad活用講座の体育編と音楽編とアクティブラーニング編です。「研修は楽しくなければならない」と言いますが楽しく盛り上がった研修でした。教育の専門家(指導主事や経験豊かな教員)ではなく企業の方が講師だったので、授業で活用できることを学びたいと思う先生には物足りなかったかもしれません。しかし、まずは触ってみる、まずは使ってみるという観点では有意義な楽しい研修でした。

体育編について少々。今までに県内で見させていただいた体育の授業の中では、例えば、「A君が跳び箱を跳ぶ動画を固定タブレットで撮影し、その動画を数秒後に近くの大画面で表示して、A君自身が大画面の前へ移動してきて自分の動きを確認しながら先生の指導を受け、それからまた同じようにA君が跳び箱を跳ぶ動画を撮影し、その動画をA君自身が確認する、これを繰り返す」、という一連の流れを、授業に参加している子ども全員が流れ作業のように繰り返していた授業が、子ども達が盛り上がり上手になった、ICT活用効果を一番感じた授業でした。このように撮影した動画を時間差で表示できるソフトもあります。

アクティブラーニング編ではジグソー法による学習活動を参加者が体験しました。小学校や中学校では議論を深めるためにファシリテーター的な役割をどうするかが課題となりますが、研修者が教員ばかりなのでそんな心配は無用でした。ただ、新学習指導要領にはアクティブラーニングという用語は出てきません。「主体的・対話的で深い学び」になっています。講座名はちょっと時代遅れかなという気がしないでもありません。ところで何故アクティブラーニングという用語が消えたのでしょうか。本当のところは知りませんが、定義が曖昧な英語表記の用語を避けた、分かりやすい日本語で定義を明確にした、アクティブラーニングは授業者の授業テクニックを表すもので、子どもたちの学びの内容とは意味合いが異なる、などなどが考えられますが、さて真相や如何に。

25 中学校部活動の改善

今春(平成31年3月)岐阜県教委が「中学校部活動指針」を発表しました。この指針が各中学校で確実に実行されれば中学校部活動は大きく改善されます。指針で示された改善ポイントは次の通りです。

  • 「全校生徒全員部活動加入」のように部活動への参加を強制しない。
  • 平日の朝練習は午前7時30分以降とする。
  • 平日の活動時間は2時間程度以内とする。
  • 平日5日間のうち1日以上の休養日を設ける。
  • 休日の活動時間は3時間程度以内とする。対外試合等もできる限り終日に渡らないようにする。
  • 土曜日・日曜日のいずれかを休養日とする。第3日曜日(家庭の日)は原則として休養日とする。
  • 大会や対外試合等で休日に連続して活動する場合は、翌日に休養日を設ける。
  • 年末年始やお盆期間等には活動日を設けない。
  • 部活動として参加する大会や対外試合を精選する。
  • 部費等の会計処理は各部保護者会が行う。
  • 各中学校における運動部の設置数は複数顧問体制が可能な範囲とする。
  • 教員の休日の部活動指導業務は原則一か月15時間程度(大会等をのぞく)とする。
  • 教員には、休日のどちらか1日を含め、1週間のうち2日間は必ず休養日を設ける。

「定額働かせ放題法」と揶揄される給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の改善は国会議員のお仕事ですが、ブラック労働と言われる部活動指導の勤務環境改善は市町村教委の決定で可能であり、これはそのための指針です。なお、実際にどのように中学校部活動を改善するかは、この県指針により各市町村教委の権限と責任のもと決定されます。

県指針は以下のPDFファイルで御確認ください。

岐阜県中学校部活動指針 (表紙と目次)

岐阜県中学校部活動指針 (策定に当たって) p1~p2

岐阜県中学校部活動指針 (本文) p3~p12