45 小中教員の研修校

9/19岐阜新聞朝刊に岐阜市議会で教育長が「教育実習校の勤務時間が長くなっている傾向がある」、「(教育)実習校が自らの体調や家庭の犠牲の上に成り立つものであってはならない」、「(教育)実習校は県や市の教育の発展に貢献してきた」などと答弁した記事が掲載されました。答弁中の「教育実習校」は、岐阜大学教育学部の教育実習生を受け入れる岐阜市立の長良小、加納小、長良西小、長良東小、加納中、長良中、青山中、陽南中、東長良中を指しています。岐阜市内には他に岐阜大学教育学部附属小・中学校があります。

これらの「教育実習校」は「研修校」とも呼ばれており、勤務する多くの教員は、優秀な教員の育成を実践を通して図り、地域や学校の中核教員に育てることを視野に入れて実施されている「研修校派遣制度」により派遣された教員です。「職員調書」の履歴の欄には「研修校派遣」と記載されます。なかには生活の本拠地が東濃や飛騨であるため、住居を岐阜市内などに移して勤務する教員もいます。研修校派遣に送り出す地域や学校は、これらの教員が研修校(教育実習校)勤務を終えて地元に戻り、 「スクールリーダー(中核的中堅教員)」として活躍して欲しいとの期待を持ち派遣しています

この仕組みが岐阜県の教育水準向上に果たした役割は大きく、岐阜県内のどの市町村でも、研修校派遣を経験した教員がリーダーとなって、研修校(教育実習校)の教育を参考に概ね同水準の教育が実施されています。しかし、働き方改革や市町村教委による地域に応じた独自の学校運営、教育実践が求められるようになってきた今、教育実習校はともかく研修校と「研修校派遣制度」は見直しが必要な時期になってきたような気がします。

地公法、教特法で教員の研修は任命権者(県内市町村立小中学校教員の場合には岐阜県教育委員会)が行うことになっています。しかし、地教行法で、中核市の教員研修は任命権者(県教委)ではなく中核市(岐阜市は中核市に該当)の教育委員会が行うことが定められています。

このような法律の定めから、岐阜市以外の市町村立小中学校教員の研修は県教委が実施し、岐阜市立小中学校教員の研修は岐阜市が独自に行うことになっています。そのため、例えば新採用教員の初任者研修は、岐阜市の教員と岐阜市以外の教員が全く別の日、別の場所、別の内容で受講しています。このような仕組みの中、県教委の教員養成方針に基づいて県教委の責任と権限で行うべき小中学校中堅教員養成研修を、「研修校派遣制度」により中核市である岐阜市独自の研修に任せている状況は、決して好ましいとは言えないかと思います。特に、羽島市の教育の発展を願う者としては、我が市の中堅教員養成研修を県教委ではなく岐阜市教委に任せることには、ちょっと納得がいかない面があります。

「研修校派遣制度」の詳しい内容は以下のPDFファイルを御覧ください。

岐阜県の教師教育制度と教職大学院 (岐阜県教委義務教育総括監 執筆)

41 給食費未納

市議会一般質問で、学校給食費未納が、税金徴収のように公会計化したら、先生が集金していたときより4倍に増えたと答弁がありました。学校で先生が集金していた17年度までの5年間の未納額は80~120万円だったのに、市が直接集金する公会計化後の18年度未納額は400万円まで増えたそうです。増えた理由は様々推測できますが、先生方が、多忙な中、未納になりそうな保護者の方々の理解を得るために家庭訪問をするなど、多大な努力をされていた様子が窺えます。羽島市の先生方、給食費集金は教員本来の仕事ではなかったのに、今まで長い間ありがとうございました。

40 教育委員会とは

教育委員会とは何を指すのでしょうか。

羽島市教育委員会 会議録

羽島市HPに「市長から独立した行政委員会として教育委員会が設置されています。 羽島市教育委員会は5人の委員で組織され、教育についての方針・施策はこの教育委員会での合議によって決められています。」と記載されています。

5人の委員は教育長の森氏と男女各2人の4人の教育委員です。この5人の委員の指揮監督下で教育行政事務を実施するのが教育委員会事務局です。教育委員会というとこの事務局を指す場合が多いですが、正確には委員5人の合議体が教育委員会です。

4人の教育委員の権限と責任は教育全般に及びます。例えば、子ども達が学校で使う教科書をどれにするか、教育委員会事務局指導主事の先生を誰にするかなども、教育長と4人の教育委員が合議で最終決定します。そのため、報酬は月額36,000円(教育長は異なる)の月給制と若干手厚くなっています。ちなみに8/27に傍聴した羽島市子ども・子育て会議委員は日額6,000円(会議当日の日当)です。意見を述べることが主な職務である審議会等の委員と教育行政に対して権限と責任を持つ教育委員とでは、その職務の重さが異なることから報酬に差があると思われます。

教育委員の任期は4年です。また、教育委員の1人は保護者でなければなりません。最近は、教育委員に弁護士や医師、臨床心理士を任命する自治体が増えてきています。

羽島市教育委員の皆様の羽島市教育の発展充実に向けた更なる御活躍を期待しています。