127 コロナ禍の教育実習のあり方

いつもならば9月から教育実習のシーズンです。しかし、コロナ禍で県が第2派非常事態宣言を出しました。大学でもクラスターが発生し無症状の20歳代コロナ感染者も多そうです。このような状況では、オンライン授業などを継続している大学の大学生が、小中学校等で4週間も教育実習のために対面授業をすることは、保護者に大きな不安を抱かせると思われます。教育実習の受け入れは小中学校等の義務でも業務でもありません。教育実習実施責任者として、大学には、教育実習生が子ども達に感染させることがないように最善を尽くす義務があります。保護者から「自分たちの大学さえ良ければ教育実習校の子ども達はどうなっても良いのか」と言われないためにも、教育実習校における感染拡大防止に向けて大学の経費(授業料の一部)で大学が自ら最大限の対策を実施しなければなりません。大学の自律性と責任感に期待します。なお、岐阜大学教育学部では、1年次に教職トライアル、2年次に教職リサーチ、3年次に教職プラクティス(4週間の教育実習)、4年次に教職インターンがあり、大学生が小中学校等で子ども達と対面するのは教育実習だけではないようです。      ( HP表示回数 18,830 カウント )

教育実習期間弾力化する通知(4週間を2週間へ短縮)(R020501文科省発出)
教育実習を大学の授業で代替する通知  (R020811文科省発出)

 

 

岐阜県内の感染状況 (岐阜県HP)
86 教員多忙化解消と研修校
70 いじめと実習校
45 小中教員の研修校

124 高校普通科再編?

2020/7/16の新聞に、早ければ2022年春にも高校普通科に加えて「学際融合科」「地域探求科」を設ける案の記事が載りました。どこからそんな話が出てきたのかと調べると、2020/7/10の文部科学大臣定例記者会見で大臣が説明したようです。大臣の話の大元はどこかというと、中教審初等中等教育分科会の「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の第9回(2020/7/9)の議論からのようです。となると、観測気球でしょうか。なお、このワーキンググループの主査は京都堀川高校で有名になった荒瀬克己氏、主査代理は京都府教育長です。他の委員はその多くが都会の方々です。

1994年度(平6)にも、普通科や高校教育に対して同様の課題が指摘され、その解決策として普通科・専門学科に加えて新たに総合学科が新設されました。当時の文科省は、全高校の1/3を普通科、1/3を専門学科、1/3を新しい総合学科にして、高校教育を改革すると言っていました。現状は見ての通りです。岐阜総合学園高校のような充実した総合学科を設置している都道府県は岐阜県を含め僅かです。今回は普通科に新たな学科を加える案のようですが、どう進むのでしょうか。総合学科が広まらなかった理由をしっかり検証すべきでしょうね。

もう一点。様々な特色を持つ高校があり、そこから自分の興味関心、進路希望にあう高校を選択して進学するということは素晴らしいことです。是非ともそのような環境で子ども達を学ばせたいと思います。しかし現実は、通学にかかる時間や経費などの制限から通学圏内にある高校から選択しなければなりません。そして、多くの地域が数校の中からしか選択できません。農業や工業関係を学びたくてもその高校が遠くて進学できない地域もあります。そのような地方の現実を踏まえた高校の特色化、学びの内容の特色化を検討してほしいものです。「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」の都会出身の委員の皆様、よろしくお願いします。都会の課題と地方の課題は異なります。  ( HP表示回数 18,446カウント )

萩生田光一文部科学大臣記者会見録(令和2年7月10日)の一部
(略)中教審のですね、「新しい時代の高等学校教育の在り方ワーキンググループ」では、普通科改革や地域社会との協働など、新時代に対応した高等学校教育の在り方について、ご議論をいただいているところです。昨日の会議では、普通科改革の方向性として、例えばSDGsなどの学際的・科学的な学びに重点的に取り組む新たな学科ですとか、地域社会を抱える課題解決に向けた学びの重点的に取り組む新たな学科の創設などを検討するとともに、専門学科の充実方策として、地域の産業界を核とした人材育成の推進の在り方について検討をいただいたところです。また、域内に公立学校が0校又は1校しかない市町村が約6割とする資料も踏まえ、離島や中山間地域などのこれからの小規模高校の在り方について、ICTも活用して、複数の高等学校が連携・協働した学校間連携の在り方について検討を行ったところです。(略)公立学校の統廃合は、設置者である地方自治体において適切に判断いただくべきものではありますけれども、文科省としては、高等学校が担う地域振興の核としての役割は、今後も極めて重要と考えております。(略)

123 羽島市総合教育会議withコロナ

2020/7/9に羽島市総合教育会議を傍聴しました。教育行政の責任者である5人の教育委員と一般行政の責任者である羽島市長が、羽島市の教育施策についてお互いに意見をぶつけながら協議調整等を行う会議です。多忙な中でもきめ細かな感染症対策を実施をしている学校の先生方への、市長からの敬意と感謝の言葉から会議は始まりました。そして、やはりテーマは「コロナ感染症対策下における学校教育活動」でした。学校や勉強が苦手な子ども達への配慮、ICTを活用した教育や教員の生産性の向上、保護者へのアンケート結果などが議論されました。特にアンケート結果は現実を反映したデータなので関心を引きました。  ( HP表示回数 18,196カウント )

会議要旨、配付資料等(羽島市HP)
36 総合教育会議
40 教育委員会とは

アンケートメール送信数4814人なのでほとんど全ての保護者へ送られています。回答率約62%は、学校が保護者に実施するアンケートとしてはちょっと低いかなと思ったりします。コロナ対応やずーっと家にいる子どもの世話で保護者の皆さんはそれどころでは無かったのかもしれません。
それはそれとして、心配事では学習や生活のことが多いのは予想通りですが、子どもとの関係でストレスや不安を感じている保護者が10%(約320人)、教育相談やカウンセリングを受けたい方が5%(約160人)というのはちょっと多い印象です。回答していただいた保護者の10%、5%ということなので全体ではもっと多いはずで、なかなかに重い数値です。経済的にも時間的にも精神的にも切羽詰まって、回答することさえ出来なかった保護者もいることを思うと、コロナ禍とはいえ切ない思いがあります