214 「気候変動と経済」三菱電機元社長講演

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▼2021/11/9に、母校であり校長として勤務もした岐阜高校で生徒と一緒に同窓会主催講演会を拝聴しました。講師は私の1学年下の元三菱電機社長杉山武史氏(S50年卒)です。演題は「『気候変動と経済』-今から始めること」でした。
▼「未来を変えるエンジニア」になりたくて工学部から三菱電機へ進まれたそうです。社会に役立つ「形のあるモノ」を造る喜び、造ってきた誇りが講演から伝わってきました。
▼講演では、時代を約10年毎に区切って、各時代の特徴を、高度成長、オイルショック、家電全盛とパソコン黎明、バブル隆盛と崩壊、失われた20年、と整理され、今後は気候変動を踏まえてどのように進むべきかについて話されました。
▼これからの日本産業の進路としては、今までの加工産業に代わる基幹産業を興さなければならないとされ、その基幹産業として食に関する事業を候補に挙げられました。気候変動に対応できるように、二酸化炭素排出を減らしたスマート農業や野菜工場、養殖漁業など、改善や改良ではなく本質的な変革を伴った新たな基幹産業の育成です。
▼最後には座右の銘として「人心一身」「利他の心」を説明され講演会は終了しました。
▼放課後には希望生徒約40人との座談会が開かれ、生徒からの途切れる間もない質問に対して、後輩達への熱い思いを込めて答えていただきました。杉山氏のこれまでの人生に裏打ちされた真摯な助言や示唆は、生徒にとってとても貴重な宝になったと思います。
▼杉山様、お忙しい中、本当にありがとうございました。私も、とても刺激を受け勉強になりました。




印象に残った杉山氏の言葉の幾つかを御紹介します。
〇【生徒の「人間はAIとどのように関わっていくべきか」の問に答えて】現在のAIの限界は、単一命題に対する対応(分析→結果)しかできない、複合的なことはできない(優先順位やトレードオフを考えることはできない)、こうなりたいという展望に基づいて判断することができないの3点。なので、単純作業はなくなるかもしれないが、人間が活躍する場は多くある。
〇【生徒の「社長になれた理由は何か」の問に答えて】与えられた仕事をしっかりやった。そのために専門外の分野も含め必死に勉強し努力した。学ぶことが大事だし自分の土台にもなる。勉強したり努力したりした時に仲間に助けられ周りとの関係性が築かれた。勉強する、人を大切にする、役割を果たす、この3点が大切。
〇【生徒の「十分便利になったけれどまだ成長を目指すべきか」の問に答えて】成長を目指すことは必要。成長を目指すことによって新しいものが生まれる。しかし、これからは成長とはいっても、人の富を増やすことから、不安の解消や楽しみの機会など生活の充実へと、成長の意味づけは変わっていくだろう。
1つの側面だけを見ていてはいけない(トレードオフとトレードオン)。
〇社長は偉い人ではない。経営判断を最終的に決定する役割を担う立場に過ぎない。〇創造の根本にあるものは興味や疑問。なぜかということをその背景から考える習慣を持って欲しい
〇何事も人がベース。チームとして人の集まりが力を持つ。

別件ですが『岐阜高校の校歌と空撮動画』です。(音が出ます)
校舎はすっかり新しくなりましたが懐かしいですね。
私が校長の時に昭和49年卒の方々にお願いして作成しました。