31 プログラミング教育

羽島市6月議会で「プログラミング教育」について一般質問があり、タブレットパソコンを教育支援センターに46台配置するという答弁がありました(8月1日発行はしま議会だより)。そこで「プログラミング教育」について考えてみたいと思います。

プログラム(program)を英和辞典で調べると、名詞では「計画、予定、番組」、動詞では「計画を立てる、〇が〇するよう計画する、(コンピュータの)プログラムを作る」が出てきます。語源は「書きものによる前もっての告知」だそうです。運動会のプログラム、コンサートのプログラムなどでよく見掛けます。

では、「プログラミング教育」とは何でしょう。一般にプログラミングというと、英単語などが並んだコンピュータを動かすための命令文(Basic、Java、C言語、HTML等のプログラミング言語)でコンピュータを動かす命令書を作成(プログラミング)することを指します。

これが「プログラミング教育」となると様子が変わってきます。プログラム本来の「何をどのような順番で実行するか」ということがポイントになります。単純に、児童生徒にコンピュータを動かす技術を教えれば良いということではありません。プログラミングの技能を習得すること自体がねらいではありません。

小学校では「コンピュータに意図した処理を行うように指示することができる」という体験を通して、「自分が意図する一連の活動を実現するために、どのような動きの組合せが必要であり、一つ一つの動きに対応した記号を、どのように組み合わせたらいいのか記号の組合せをどのように改善していけば、より意図した活動に近づくのか、といったことを論理的に考えていく力プログラミング的思考)」を育成することが「プログラミング教育」のねらいの一つにあげられています。

「プログラミング教育」はコンピュータがない環境でも可能です。例えば、友人がキャンプでお米を美味しく炊けるようにするために、紙ベースを想定した場合に、何を(文章だけではなく図やフローチャートを使って)どのように記述すると友人は迷ったり失敗したりすることなく美味しく炊くことができるかを考えることも「プログラミング教育」であり、「プログラミング的思考」の育成になるのではないでしょうか。多くの授業実践例の提示が求められます。

新学習指導要領のポイント(プログラミング教育関連

小学校プログラミング教育の手引き(第二版)(文科省H30/11発表)

30 全国学力調査結果

4月に実施された全国学力・学習状況調査(全国学力テスト、小学6年と中学3年の全児童生徒対象、私立学校は一部のみ参加)の結果が文部科学省から発表されました。平均正答率の順位を云々する喧噪は少なくなってきましたが、平均正答率の順位で評価をしようとする流れは相変わらずです。

岐阜県は他県と比較して、小学校が低くて中学校が高いという傾向がずーっと続いています。このことを問題にする人、問題にしない人と様々ですが、私の周囲には「中学校が良ければOKじゃないの」と言う方が多いですし、私もそう思っています。終わり良ければ全て良しではありませんが、岐阜県の戦略としてこれはこれで良いのではという考え方です。とはいうものの、小学校が低くて中学校が高い理由については、何処かで研究していただいて広く教育関係者、一般行政関係者、保護者の共通理解を図るべきでしょう。皆さんは何が要因と思われますか。

平均正答率の0.1の増減を話題にすることがありますが、例えば小学校算数では設問が14問あって平均正答率は9.3問の66.3%でした。中央値は10問、最頻値は11問、標準偏差は3.1でした。勿論正規分布ではなく、高得点側に偏った分布です。このようなテストでは0.1の増減はほとんど意味が無いと思うのですが、どうなんでしょうか。

詳細は文部科学省発表の次のPDFファイルをどうぞ。

令和元年度全国学力・学習状況調査の結果(文科省発表サマリー)

 

28 羽島市ICT活用講座

羽島市ICT活用講座に先生方に混じって参加しました。iPad活用講座の体育編と音楽編とアクティブラーニング編です。「研修は楽しくなければならない」と言いますが楽しく盛り上がった研修でした。教育の専門家(指導主事や経験豊かな教員)ではなく企業の方が講師だったので、授業で活用できることを学びたいと思う先生には物足りなかったかもしれません。しかし、まずは触ってみる、まずは使ってみるという観点では有意義な楽しい研修でした。

体育編について少々。今までに県内で見させていただいた体育の授業の中では、例えば、「A君が跳び箱を跳ぶ動画を固定タブレットで撮影し、その動画を数秒後に近くの大画面で表示して、A君自身が大画面の前へ移動してきて自分の動きを確認しながら先生の指導を受け、それからまた同じようにA君が跳び箱を跳ぶ動画を撮影し、その動画をA君自身が確認する、これを繰り返す」、という一連の流れを、授業に参加している子ども全員が流れ作業のように繰り返していた授業が、子ども達が盛り上がり上手になった、ICT活用効果を一番感じた授業でした。このように撮影した動画を時間差で表示できるソフトもあります。

アクティブラーニング編ではジグソー法による学習活動を参加者が体験しました。小学校や中学校では議論を深めるためにファシリテーター的な役割をどうするかが課題となりますが、研修者が教員ばかりなのでそんな心配は無用でした。ただ、新学習指導要領にはアクティブラーニングという用語は出てきません。「主体的・対話的で深い学び」になっています。講座名はちょっと時代遅れかなという気がしないでもありません。ところで何故アクティブラーニングという用語が消えたのでしょうか。本当のところは知りませんが、定義が曖昧な英語表記の用語を避けた、分かりやすい日本語で定義を明確にした、アクティブラーニングは授業者の授業テクニックを表すもので、子どもたちの学びの内容とは意味合いが異なる、などなどが考えられますが、さて真相や如何に。