143 議会で質問できる「市の一般事務」とは

▼2020/10/10の新聞に羽島市議会議会運営委員長発行の「議員の情報発信紙」が折り込まれていました。そこには、岐阜市、羽島市、岐南町、笠松町が構成団体の、羽島市内に「新ごみ処理施設」を建設する一部事務組合「岐阜羽島衛生施設組合」(特別地方公共団体)事務について、「市長は『市の一般事務』には当たらないとし議会質問することはできないと答弁した」、更に市長のこの答弁に対し「議会運営委員会で審議し、概ね議会質問できると結論づけた」などと書いてありました。

▼全国市議会議長会の「標準市議会会議規則」に準じて定められた羽島市議会会議規則第61条に「議員は、市の一般事務について、議長の許可を得て質問することができる。」とあります。
▼また、9月下旬の羽島市議会全員協議会での議論の際に資料配付された「地方議会運営辞典」の抜粋には、「一部事務組合等で共同処理する事務及び国が処理している事務に対して質問することは、当該市町村の事務ではないので、法的には認められない。さらに、当該団体が出資している地方公社の業務については、地方公社は当該団体とは別個の存在であるので質問できない。ただし、当該団体の出資、債務保証の適否や長の監督権の行使の状況等については質問できる。」と説明されています。
▼これらから、市議会の一般質問で、一部事務組合「岐阜羽島衛生施設組合」の事務については質問できないことは明らかです(一歩譲って拡大解釈したとしても質問可能範囲は非常に限定されます)。
▼そのため、一部事務組合「岐阜羽島衛生施設組合」の事務について議会質問可能かどうかは、現在も議会で議論中です。10/7の羽島市議会全員協議会では、議長指示により引き続き議会運営委員会で審議していただくことになりました
▼なのに、「議会運営委員会で議会質問できると結論づけた」と、議会運営委員長は何故この時点で市民へ広く広報されたのだろうか。不思議です

▼それはそれとして、会議規則を杓子定規に適用することよりも、議会活性化のために、議会と執行部が誠実に協議しながら、一般質問の許容範囲を「申し合わせ事項」などにより丁寧に定めることが大切だと思います。
▼しかし、議会運営委員長みずからが、市長不信任決議案に賛成討論し、さらに、「市長が今までのことを隠蔽するために『一般事務には当たらない』を持ち出した」と思わせるようなことまで市民へ広報してしまっては、それも無理かも知れません。残念です
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岐阜羽島衛生施設組合のHP
岐阜羽島衛生施設組合の規約
141 羽島市長不信任決議案が提出されるも否決

141 羽島市長不信任決議案が提出されるも否決 (20200926)

▼2020/9/25の9月議会最終日に、突然「羽島市長の不信任決議案」が提出されました。堀隆和議員、豊島保夫議員他数人が賛成討論、南谷佳寛議員、藤川貴雄議員他数人が反対討論をし、記名投票の結果、不信任成立に5票不足となり否決されました。
▼不信任案提出は、市政運営のあり方より、市長や副市長と不信任案提出議員の間の感情的な行き違いという感じがしないでもありません。ある提出議員は「否決されることが前提のパフォーマンス」と言っていましたので、11/29市長選へ向けた活動の一環なのかもしれません。いずれにしても不信任決議案を提出した以上、現市長に対抗する候補者を擁立するのは不信任案提出議員7人の当然の責務と思われるので、提出7議員の誰かが市長選に立候補されるのでしょうか。
私の思いは、市長任期2期毎に政争を繰り返す今までの羽島市と決別し、羽島市政が安定して継続することによってこそ羽島市が発展充実するというものであり、また現松井市長の行政手腕を評価してもいるので、市長不信任決議案には当然のこと反対票を投じました
▼なお、ベテランの堀議員、豊島議員の討論登板は5月13日臨時議会における新庁舎建設工事請負契約変更議案の反対討論に続いてです。この新庁舎建設契約変更議案は、5月13日は反対多数で否決されてしまいましたが、僅か2週間後の5月27日臨時議会では、何故か一転、全会一致で可決されるという経緯をたどりました。
それぞれの議員がそれぞれの政治信念で、現在及び未来の羽島市政に対して意思表示をしました。次は羽島市民の皆様に御判断いただくことになります。
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▼上の不信任決議案提出理由への疑問点を整理してみました。どなたかに回答を求めるわけではありません。頭の体操のための情報提供だけです。羽島市民の皆様には、不信任決議案提出理由とそれに対する私の疑問を読み比べていただき、羽島市政への理解を深めていただけると幸いです。
▼①「財政安定化対策」は昨年度からではなく令和2年度予算から実施されている。「財政状況はおおむね健全性を維持している」は令和元年度決算についてである。令和元年度は健全であるが、将来は厳しいことが予想されるので令和2年度から「事前の一手」として「財政安定化対策」に取り組みはじめた、と理解するのが正しいのではないだろうか。
▼②「財政安定化対策」が市民生活に影響と不安を与えていることは事実と思われる。しかし、この「財政安定化対策」を実施している令和2年度予算は、不信任案を提出した議員も賛成して議会で可決した予算である。自ら賛成し成立させた予算にもかかわらず、その予算の影響を市長不信任の理由とするのは何か変な感じがするが、如何なものだろうか。
▼③ゴミ処理施設建設計画について、一日でも早い稼働を希望するのは私も同じ。市長も議会答弁で「岐阜市、羽島市、岐南町、笠松町は早期完成・稼働の共通認識のもとで頑張っている」と明確に答弁したと記憶している。これを明快な答えと理解するのが正しいのではないだろうか。また、9月25日の全員協議会で議運委員長から指摘があったように、「羽島市の一般事務」以外にあたる「岐阜羽島衛生組合」の事務であるゴミ処理施設建設の今後については、法令違反となるため答弁できないことは当然ではないだろうか。
▼④病院の経営改善については、急性期病棟を削減し地域包括ケア病棟を増やすなどにより、近年は、市一般会計からの繰入金は徐々にではあるが概ね減少傾向にあると説明を受けている。このことは経営改善が進んでいると理解するのが正しいのではないだろうか。
▼⑤SNSで名誉毀損があったならば、具体的にその内容を指摘しないと説得力に欠けるのではないだろうか。
羽島市民の皆様はどのように思われますか。

139 議会から公開質問へ回答
133 議会改革「議員定数削減の署名11,011人」
116 新庁舎工事契約議案 否決から一転可決

140 コロナで県内市町の「財政悪化」 (20200922)

2020/9/22の岐阜新聞朝刊に『県と33市町「財政悪化」』という記事がありました。新型コロナ感染拡大による、感染症対策や地域経済振興策での財政負担に加え、個人所得や企業業績の悪化による税収減が主な要因のようです。「人件費についても削減を検討しなければならない」(本巣市)という記事もありました。羽島市は将来の財政状況を見通した「事前の一手」としての「財政の安定化対策」に取り組み一層の行財政改革に努めていますが、今後も更なる「選択と集中」の施策を推し進める必要があります。
開催中の9月議会で令和元年度決算が審議されており、9/16の予算決算特別委員会で「令和元年度の財政状況」について質問しました。監査委員事務局からの答弁は、①一般会計は4億1600万円余りの黒字、②他の全ての特別会計も黒字、③国が定めた全国統一の財政健全性を示す4つの指標(健全化判断比率)について「該当なし」あるいは「国基準をクリア」、などから監査委員意見として「概ね健全である」としたというものでした。
現時点での羽島市財政は、民間専門家と市議会議員による監査で「概ね健全である」ということですが、将来のことは「神のみぞ知る」です。今できることは「事前の一手」を確実に遂行することだと思います。
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【参考】
「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」第3条に規定される財政の「健全化判断比率」の4つの指標は次の通り
実質赤字比率(標準財政規模に対して、実質収支の赤字額の占める割合を示す指標)
連結実質赤字比率(標準財政規模に対して、一般会計、特別会計、企業会計の実質赤字額又は資金不足額の合計の占める割合を示す指標)
実質公債費比率(地方債のうち地方交付税で措置されるものを除いた標準財政規模に対して、地方交付税で措置されるものを除いた公債費や公営企業債への操出金などの公債費に準ずるものを含めた実質的な公債費相当額の占める割合の過去3カ年平均をとった指標)
将来負担比率(地方債のうち地方交付税で措置されるものを除いた標準財政規模に対して、地方交付税で措置されるものを除いた地方債残高等の将来負担すべき実質的な負債額の占める割合の指標)
羽島市の令和元年度決算では、実質赤字比率は「該当なし」、連結実質赤字比率は「該当なし」、実質公債費比率は4.2%で「国基準クリア」、将来負担比率は23.2%で「国基準クリア」となっています。