「22国民年金って損?」で月16,410円の国民年金保険料を払うのが得か損か考えました。今回は厚生年金について考えてみました。厚生年金は収入にあわせて保険料と年金額が変わる仕組みでなので生涯収支はとても大雑把な試算になってしまいます。
- 厚生年金保険料は収入の約18%で、雇用者と本人が9%ずつ折半で納付します。国税庁報告によると男性正規雇用給与所得者の年間平均給与は約548万円(45.9歳、13.5年勤務、含賞与)なので、雇用者と本人それぞれが年約50万円ずつ、合計年約100万円の厚生年金保険料を納付します(通常は本人負担分のみ毎月の給料から天引き)。納付期間を22歳から65歳までとすると43年間の総納付額は本人負担分が約2,150万円で企業負担分との合計は約4,300万円になります。
- 厚生年金は65歳以降支給です。厚生労働省報告によると男性(第1号保険者、正規雇用給与所得者)の平均年金月額は174,535円で年間約210万円(私の感覚よりかなり多い、75歳以上の高額年金者が引き上げているのかな?)の支給です。65歳から75歳までの10年間の総支給額は約2,100万円になります。
- 単純に考えると、22歳から65歳までの43年間かけて納付した保険料のうち、65歳から75歳までに本人負担分約2,150万円が支給され、75歳から85歳までに企業負担分約2,100万円が支給され、85歳以降は国が税金等を使って支給してくれる試算となります。
- 感覚的には75歳以降支給の企業が負担してくれている厚生年金保険料相当分だけ得だといえそうです。(実際は本人の年収や勤務状況によって大きく変動します。)
厚生年金が幾ら貰えるかばかりに目が行きがちですが、国民年金と同様に厚生年金には「保険」としてのメリットもあります。さらに、保険料の半分を雇用主が払っているという隠れたメリットもあります。
- 長生きに対する保障(終身年金なので100歳でも何歳でも貰える)
- インフレに対する保障(物価や賃金の変動にあわせて支給額も変動)
- 障害に対する保障(障がい者となった日から年金支給)
- 死亡したときの保障(死亡した日から遺族へ年金支給)
民間保険会社の終身年金保険と比較すると、保険会社倒産リスク、納付保険料と受け取る年金額の差、インフレ対応、障害・死亡保障、雇用主の負担分などの点で、大きな差があると思います。さあ、厚生年金保険料を払うのは損でしょうか、得でしょうか。
平成29年分 民間給与実態統計調査 (国税庁・平成30年9月発表) 12ページ参照
平成29年度厚生年金保険・国民年金事業概況(厚生労働省・平成30年12月発表) 12ページ参照